セッション情報 一般演題

タイトル 54:

糖尿病を契機に発見された漿液性嚢胞腫瘍の1例

演者 山本 果奈(東京女子医科大学病院)
共同演者 田原 純子(東京女子医科大学病院), 高山 敬子(東京女子医科大学病院), 小山 祐康(東京女子医科大学病院), 清水 京子(東京女子医科大学病院), 白鳥 敬子(東京女子医科大学病院)
抄録 漿液性嚢胞腫瘍は膵嚢胞性腫瘍の約4-10%程度と比較的まれな疾患であり、一般的には良性腫瘍で悪性例はきわめて少なく、外科的切除の適応となることはほとんどない。今回我々は糖尿病発症を契機に発見された症例を経験したので若干の文献的考察とともに報告する。【症例】60歳、女性【主訴】特記すべきことなし【既往歴】高血圧、糖尿病で内服治療中【家族歴】膵疾患や糖尿病なし【現病歴】生来健康。2008年6月の健診を機に糖尿病を初めて指摘され、加療目的に近医に入院した。腹部エコーにて膵頭部に径86×58×67mmの腫瘤性病変を指摘され当科紹介受診し、精査加療目的に当科入院となった。【入院時理学所見】腹部に圧痛なく、明らかな腫瘤を触知しない。【入院時血液検査所見】BS 122 mg/dl、HbA1c 8.9 %、その他異常所見なし【入院後経過】入院後の超音波内視鏡検査にて膵頭部に径80mmの比較的境界明瞭な腫瘍を認め、内部はmultilocularなcystで形成され、尾側膵管は拡張していた。造影エコーでは腫瘍は全体的に造影効果を認め、内部は低エコーな嚢胞成分であった。以上の画像所見から漿液性嚢胞腫瘍(serous cyst neoplasm : SCN)と診断した。明らかな多臓器浸潤は認めなったが、本症例では腫瘍径が大きく主膵管の拡張もあり、残膵機能の温存も考慮し、膵頭十二指腸切除術を施行した。組織診断も術前診断と相違なく、術後血糖降下剤の内服やインスリン投与をせず、血糖コントロール良好である。【考察】漿液性嚢胞腫瘍は経過観察が基本であるが、本症のように巨大な腫瘍であり、尾側膵管の拡張も併存している症例では膵機能温存も考慮し外科的治療の検討が必要であると考えられた。
索引用語 漿液性嚢胞腫瘍, 糖尿病