セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
57:膵solid-pseudopapillary tumorの1男性例
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演者 |
片岡 俊介(横浜市立大学附属病院 消化器内科) |
共同演者 |
小川 真実(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 古出 智子(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 所 知加子(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 安崎 弘晃(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 川名 一朗(横浜市立大学附属病院 消化器内科) |
抄録 |
症例は58歳の男性。人間ドックを契機に、膵頭部に中心石灰化を有する30mm大の腫瘍を指摘され、精査目的にて当科に紹介受診となった。腹部超音波検査では境界明瞭な35x36mmの低エコー腫瘤で、中心にASを有する高エコーを認めた。主膵管の拡張は認めなかった。腹部造影CT検査では、境界明瞭で中心に石灰化を有し、造影早期では低吸収値であり、造影後期で膵実質と同等の吸収値となる造影効果を有する腫瘤を認めた。MRI検査ではT1強調画像で低信号、T2強調画像で軽度の高信号値として描出された。超音波内視鏡検査では、中心にASを伴う高エコーを有する低エコーの充実性腫瘤として描出されるが、エコーレベルは不均一であり、一部では無エコー域の部分も認められた。ERCPでは主膵管との交通はなく、主膵管拡張も認めなかった。PET検査では腫瘤に一致してSUV max 3.6の集積を認めた。以上の検査から、男性ではあるもののsolid-pseudopapillary tumorを疑った。EUS-FNAを施行し、一部に核腫大を伴う上皮由来と考えられる異型細胞を認めたが、検体量が少なく確定診断には至らなかった。外科切除の方針となり、膵頭十二指腸切除術を施行した。切除標本では肉眼的に38x31x44mmの黄白調の腫瘤を認めた。組織学的には充実性増殖を示す部分と細胞間の結合性が緩くなり偽乳頭状増殖を示す部分を認め、石灰化も散見された。免疫染色ではVimentin,CD10,CD56,beta-cateninが強陽性、Antitrypsin陽性であり、Chronogranin A, Synaptophysinがごく一部で陽性ではあったが、solid-pseudopapillary tumorと診断した。膵solid-pseudopapillary tumorは若年女性に多い疾患であるが、10%程度に男性例を認めるとされる。また、嚢胞部分を認めない充実性腫瘤として描出されることや石灰化を有するなど多彩な画像所見を呈するため、非典型的な膵腫瘍においては男性といえども本疾患を念頭に置いた診断・治療が必要と考えられ、若干の文献的考察を含め、報告する。 |
索引用語 |
膵腫瘍, SPT |