セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 26:経過観察中に腫瘍内出血をきたした肝細胞腺腫の一例 |
演者 | 向津 隆規(済生会横浜市南部病院 消化器内科) |
共同演者 | 篠原 正夫(済生会横浜市南部病院 消化器内科), 中野 茂(東邦大学医療センター大森病院 消化器内科), 木村 隆輔(済生会横浜市南部病院 消化器内科), 下田 浩輝(済生会横浜市南部病院 消化器内科), 谷本 正男(済生会横浜市南部病院 消化器内科), 一森 美生江(済生会横浜市南部病院 消化器内科), 金川 武徳(済生会横浜市南部病院 消化器内科), 高亀 道生(済生会横浜市南部病院 消化器内科), 中山 あすか(済生会横浜市南部病院 消化器内科), 池原 孝(済生会横浜市南部病院 消化器内科), 高橋 裕(済生会横浜市南部病院 消化器内科), 保坂 洋夫(済生会横浜市南部病院 消化器内科), 久保 修一(済生会横浜市南部病院 総合診療内科), 藤井 義郎(済生会横浜市南部病院 外科) |
抄録 | 症例は48歳女性。2006年11月、右大腿痛で当院心臓血管外科受診した際、腹部CTにて肝S7/8に8.5cmの腫瘤を指摘され12月当科に紹介。USで周囲に低エコー帯を伴う内部がやや不均一な高エコー腫瘤像、dynamic CTでは単純でlow、早期相でlow、平衡相でlowのパターンを呈し、MRIではT1強調像で淡い高信号、T2強調像で肝実質と等信号を呈する境界明瞭な腫瘤を認めた。背景に慢性肝疾患なく、α-FP2.5, PIVKA-2 22と腫瘍マーカー陰性であることより、肝腺腫が最も考えられた。手術を勧めるも本人が希望しなかった為、以後2、3ヶ月に1回の頻度でMRIを施行し、経過観察していたが、2008年2月15日に右季肋部痛を主訴に来院。腹部CTにて腫瘍内出血が疑われ、緊急入院となった。緊急腹部血管造影検査を施行したが、腫瘍は血流に乏しく、責任動脈を同定できず、塞栓術は施行できなかった。腹腔内出血のリスクも考えられた為、手術目的で外科紹介し、肝右葉切除を施行した。切除標本の病理組織学所見では、腫瘍内部に門脈域を認めず、核異型を伴わない肝細胞に類似した細胞が索状に配列していた。腫瘍内部には出血壊死巣を伴っており、肝細胞腺腫の腫瘍内出血と診断した。Ishak KG等によれば肝細胞腺腫は悪性化や出血を来たすことがあることより、大きさによらず手術が第一選択とされている。一方で、Ribeiro A等によれば腫瘍径が5cm以上なら切除、3cm以下なら経過観察という報告もある。現在、肝細胞腺腫の手術適応基準は明らかにされておらず、今後治療基準を考えるにあたり貴重な症例と考え、報告した。 |
索引用語 | 肝細胞腺種, 腫瘍内出血 |