セッション情報 一般演題

タイトル 37:

著明な高ビリルビン血症を呈したβサラセミア合併総胆管結石の一例

演者 鈴木 季人(順天堂大学 医学部 消化器内科)
共同演者 今 一義(順天堂大学 医学部 消化器内科), 松本 健史(順天堂大学 医学部 消化器内科), 中江 弘三郎(順天堂大学 医学部 消化器内科), 安野 慶(順天堂大学 医学部 消化器内科), 井草 祐樹(順天堂大学 医学部 消化器内科), 金光 芳生(順天堂大学 医学部 消化器内科), 福生 有華(順天堂大学 医学部 消化器内科), 長田 太郎(順天堂大学 医学部 消化器内科), 吉澤 孝史(順天堂大学 医学部 消化器内科), 北條 麻理子(順天堂大学 医学部 消化器内科), 池嶋 健一(順天堂大学 医学部 消化器内科), 鈴木 聡子(順天堂大学 医学部 消化器内科), 須山 正文(順天堂大学 医学部 消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大学 医学部 消化器内科)
抄録 【症例】36歳女性。【既往歴】10歳時よりβ‐サラセミアと診断。【家族歴】父と弟がβ‐サラセミア【現病歴】心窩部から右季肋部にかけての腹痛と黄疸の増悪を主訴として近医を受診。高ビリルビン血症とプロトロンビン時間の延長を指摘され、急性肝不全の疑いで当院へ救急搬送され、即時入院となった。【入院後経過】発熱なし。意識清明。眼球結膜と皮膚に著明な黄疸を認めたが、腹部症状は消失していた。入院時の血液生化学検査ではHb9.5g/dlの貧血を認め、ALP 565 IU/L、AST 345 IU/L、ALT 769 IU/L、総ビリルビン27.8 mg/dl、直接ビリルビン11.95 mg/dlと胆道系酵素優位な肝機能障害と、直接ビリルビン優位の著明な高ビリルビン血症を認めた。プロトロンビン時間は65%に延長していた。腹部CTにて総胆管および胆嚢内に胆石を認めたが、肝内胆管の拡張は軽微であった。総胆管結石による閉塞性黄疸の可能性を考え、入院当日にERCPによるドレナージを試みたが、カニュレーションができず、絶食・補液にて経過観察とした。第9病日には総ビリルビン62.5 mg/dl、直接ビリルビン49.0 mg/dlに上昇し、画像上肝内胆管および総胆管径の拡張が進行していたため、再度ERCP施行。総胆管に胆石を認め、ESTを施行して採石を行い、ENBDを挿入した。術後は血清ビリルビン値の速やかな低下を認め、総ビリルビン3.79 mg/dl、直接ビリルビン1.86 mg/dlまで改善した。胆嚢内に胆石を認めることから、胆嚢摘出術を行い、術中肝生検を施行した。肝臓の病理では細胆管の造成と胆汁栓を認めて閉塞性黄疸に矛盾しない結果であったが、一方では肝内胆管に線維化を認め、長期にわたって胆道の閉塞機転が存在した可能性が示唆された。【まとめ】著明な高ビリルビン血症を呈したβ‐サラセミアの1症例を経験した。肝内胆管の拡張が軽微にもかかわらず血清ビリルビン値の著明な上昇を認め、β-サラセミアに伴う慢性的な溶血が閉塞性黄疸の病態に影響した可能性が考えられた。
索引用語 総胆管結石, 高ビリルビン血症