セッション情報 一般演題

タイトル 82:

肺非結核性抗酸菌症の経過中に下痢で発症した反応性AAアミロイドーシスの一例

演者 千葉  秀幸(NTT東日本関東病院 消化器内科)
共同演者 久富 勘太郎(NTT東日本関東病院 消化器内科), 屋嘉比  聖一(NTT東日本関東病院 消化器内科), 竹内 卓(NTT東日本関東病院 消化器内科), 伊藤  高章(NTT東日本関東病院 消化器内科), 辻 陽介(NTT東日本関東病院 消化器内科), 田部井 弘一(NTT東日本関東病院 消化器内科), 大谷 友彦 (NTT東日本関東病院 消化器内科), 大圃 研(NTT東日本関東病院 消化器内科), 寺谷  卓馬(NTT東日本関東病院 消化器内科), 松橋 信行(NTT東日本関東病院 消化器内科)
抄録 【症例】83歳女性.平成14年より肺非結核性抗酸菌症(Mycobacterium avium陽性)に対しクラリスロマイシン200mg内服で外来経過観察されていた.平成20年8月1日より食後の水様性下痢(10回/日以上),腹痛を主訴に22日当科受診.その後脱水・低栄養が進行し精査加療目的入院となった.入院当初著明なるいそう,下腿浮腫が認められた.血液検査上,低蛋白血症(TP5.4g/dl,Alb1.9g/dl), 軽度の腎機能障害(BUN24.9mg/dl,Cr1.56mg/dl),軽度の炎症反応(CRP3.9mg/dl)が認められた.入院後,腹部CTで上行から下行結腸の壁肥厚が認められた.大腸内視鏡検査では回腸末端,全結腸に発赤調粘膜が瀰漫性に認められ,また上部内視鏡検査では胃に瀰漫性の易出血性粗造粘膜と,十二指腸球部から下行脚に散在する発赤調粘膜を認め各部位より生検を行った.各部位にAAアミロイドの沈着を認め,経過から肺非結核性抗酸菌症に伴う慢性感染症による反応性AAアミロイドーシスが疑われた.消化管の他,神経因性膀胱を認めていたため神経への沈着も疑われた.中心静脈栄養,メチルプレドニゾロン500mgを3日間点滴投与(その後プレドニゾロン内服に変更し漸減),オクトレオチド300μg/日,腸管滅菌を開始した.食事開始後も排便が1回程度と落ち着いたが,食後腹部違和感,CRPの軽度上昇も残存していたためDMSO10ml圧迫包帯法を開始した.その後症状改善し腸管滅菌,オクトレオチドの漸減中止後も症状再燃なくプレドニゾロン5mg で退院となった.その一ヵ月後より下痢が再燃し食事摂取困難,意識障害にて再入院.意識障害は頭部CTを含めた精査を行うも原因不明であった.その後尿路,肺の重症感染症が併発し抗生剤投与を含めた加療を行ったが,診断後4ヶ月で死亡した.【考察・結論】約6年来の肺非結核性抗酸菌症の経過中に下痢で発症した反応性AAアミロイドーシスの一例を経験した.アミロイドの沈着部位として消化管の他,神経への沈着も疑われた.ステロイド,DMSO,オクトレオチド,腸管滅菌による治療を行い一時軽快したが再燃後は治療抵抗性の感染症で死亡した.呼吸器感染等の慢性感染症経過中に消化器症状を認めた場合アミロイドーシスの存在を念頭におく必要があると考えられた.
索引用語 反応性AAアミロイドーシス, 慢性下痢