セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 45:自然寛解を認めた後腹膜線維症を合併した自己免疫膵炎1例 |
演者 | 中里 圭宏(国立病院機構 東京医療センター) |
共同演者 | 岩畔 慶太(国立病院機構 東京医療センター), 真一 まこも(国立病院機構 東京医療センター), 岸野 竜平(国立病院機構 東京医療センター), 高林 馨(国立病院機構 東京医療センター), 南雲 大暢(国立病院機構 東京医療センター), 西澤 俊宏(国立病院機構 東京医療センター), 藤山 洋一(国立病院機構 東京医療センター), 小松 英嗣(国立病院機構 東京医療センター), 古宮 憲一(国立病院機構 東京医療センター), 箭頭 正徳(国立病院機構 東京医療センター), 金子 博(国立病院機構 東京医療センター), 高橋 正彦(国立病院機構 東京医療センター), 鈴木 雅之(国立病院機構 東京医療センター), 田中 伸(国立病院機構 東京医療センター) |
抄録 | 症例は69歳女性で主訴は左下腿浮腫。既往歴に特記すべきものはない。受診時、血液生化学検査に特記すべき異常なく、腹部造影CTを施行したところ、仙骨前面から左内腸骨動静脈周囲および骨盤腔内の腹膜にそって腫瘤影を認めた。その末消から左総長骨静脈の血流不良を認め、左下腿浮腫の原因と考えられた。同時に膵体尾部の腫大とその周囲にrim状の濃染不良域を認めた。MRCPで膵尾部に主膵管の狭小化を認め,MRIで膵体尾部周囲のrim状の領域はT2強調像で低信号を示し、これらの所見から、膵病変は自己免疫性膵炎が疑われた。血清IgGは1530 mg/dlと正常範囲内であったが、IgG4は485mg/dl(基準値5~105 mg/dl)と高値を示し、日本膵臓学会の自己免疫性膵炎臨床診断基準に照らし自己免疫性膵炎と診断した。骨盤内腫瘤は、自己免疫性膵炎に合併するIgG4関連硬化性病変の一つである後腹膜線維症と考えられた。治療としてステロイド投与を検討したが、自覚症状に乏しく、また後腹膜線維症による尿路系の通過障害もみられず、ご本人の同意が得られなかったため経過観察となった。約4ヶ月後のCTでは、膵の腫大や骨盤内病変の改善傾向がみられ、IgG4も275 mg/dlまで低下した。10ヵ月後のCTでは膵体尾部の腫大は無くなり、膵周囲のrimも消失し、骨盤内病変の厚みも軽減していた。IgG4は127 mg/dlまで改善し、IgGも998 mg/dlと以前に比べ低下がみられた。また初診時認められた左総長骨静脈の血流不良も改善し左下腿浮腫は消失した。自然寛解を示した自己免疫性膵炎と、それに合併した後腹膜線維症の1例を経験した。膵、後腹膜病変の改善とともに血清IgG, IgG4の低下がみられた。若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 自己免疫性膵炎, 後腹膜線維症 |