セッション情報 一般演題

タイトル 55:

膵管癌が合併し急速に進行した分枝型膵管内乳頭粘液性腫瘍 (IPMN)の一例

演者 吉田 仁(昭和大学 医学部 消化器内科)
共同演者 北村 勝哉(昭和大学 医学部 消化器内科), 湯川 明浩(昭和大学 医学部 消化器内科), 角田 明良(昭和大学 医学部 消化器・一般外科), 草野 満夫(昭和大学 医学部 消化器・一般外科), 佐藤 悦基(昭和大学 医学部 消化器内科), 岩田 朋之(昭和大学 医学部 消化器内科), 野本 朋宏(昭和大学 医学部 消化器内科), 山崎 貴久(昭和大学 医学部 消化器内科), 本間 直(昭和大学 医学部 消化器内科), 池上 覚俊(昭和大学 医学部 消化器内科), 田中 滋城(昭和大学 医学部 消化器内科), 井廻 道夫(昭和大学 医学部 消化器内科)
抄録 症例は64歳の男性。主訴は膵癌合併の疑い。喫煙歴: なし、飲酒歴: beer 200mlを週2回35年間。家族歴: 兄は肺小細胞癌、弟は膀胱癌。【入院までの経過】2003年9月初診時血液検査でCA19-9 108.7 U/mlと異常高値を呈したため精査したところ、膵に嚢胞性病変を認め、横行結腸癌および胆嚢胆石を認めた。画像検査により膵嚢胞性病変は分枝型IPMNと診断した。2004年2月横行結腸切除、胆摘を施行し、術後4ヶ月にはCA19-9は8.1 U/mlと正常化し、CEAも13→0.9 ng/mlと正常化した。IPMNは嚢胞 (拡張分枝膵管)φ <30mm、主膵管拡張 (-)、無症状であったため、3ヶ月毎に血液検査とMRCP、造影CTを主体とする画像検査を行い、経過観察した。観察開始後約1年半まで著変ないため6ヶ月毎の経過観察とした。2007年9月血清膵酵素値およびCA19-9の異常高値を認めたので経過観察の間隔を短縮し、画像検査にて膵管癌の合併が示唆され、11月19日当科入院となった。【入院時血液検査成績】WBC 4,000、T-Bil 1.1 mg/dl、D-Bil 0.2 mg/dl、AST 23 IU/l、ALT 25 IU/l、ALP 375 IU/l、γ-GTP 122 IU/l、Amy 498 IU/l、lipase 1,088 U/l、Elastase 1 6,080 ng/dl、CEA 1.6 ng/ml、CA19-9 1,156 U/ml、CRP <2.0 mg/dl。【画像診断と臨床経過】MRCPでは膵体部の多房性嚢胞性病変はφ 12×0.6mm,主膵管φ 3mmと著変を認めなかったが、その後の造影CTで膵頭部に低吸収性所見を認め,SMV・脾静脈の閉塞、SMA右側・神経周囲への浸潤、腸間膜の多発性リンパ節転移を伴う膵管癌合併が示唆された。ERPで膵頭部主膵管は25mmにわたり狭窄し、体部膵管は拡張し分枝は嚢状に拡張を呈した。胆管は造影できなかった。膵管擦過後洗浄液を用いた細胞診でclass V: 腺癌を認めた。内視鏡的経鼻膵管ドレナージ (ENPD)からの膵液細胞診はclass IIIであった。再度ERCを膵管guide-wire下で試みたが造影できなかった。PTBD後も黄疸、肝・胆道系酵素の高値は軽快せず手術も化学療法の継続も困難で、疼痛対策を主体に外来通院と入院を繰り返し2008年7月死亡した。【考察】嚢胞φ <30mmの分枝型IPMNの癌化例は少ないが、膵管癌合併はIPMNのない例と比べ高率であり、本例のように膵管ではなく膵実質の変化が主体である可能性があり注意を喚起する。
索引用語 膵管内乳頭粘液性腫瘍 (IPMN), 膵管癌