セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 78:十二指腸炎を呈した陳旧性の日本住血吸虫症の一例 |
演者 | 京 里佳(横浜南共済病院消化器内科) |
共同演者 | 石井 寛裕(横浜南共済病院消化器内科), 國司 洋佑(横浜南共済病院消化器内科), 岡部 尚子(横浜南共済病院消化器内科), 小谷 祥仁(横浜南共済病院消化器内科), 岡 裕之(横浜南共済病院消化器内科), 洲崎 文男(横浜南共済病院消化器内科), 河野 尚美(横浜南共済病院病理検査部) |
抄録 | 【症例】73歳男性【既往歴】8歳で日本住血急吸虫症(神奈川県西部で感染、治療したが内容は不明)71歳慢性腎不全【家族歴】特になし【現病歴】平成18年より慢性腎不全で当施設へ通院中、胸やけの精査のため平成20年11月上部内視鏡検査を行った。【現症】結膜に黄疸なし。四肢に浮腫を認めず。腹部は平坦、軟で腹水や圧痛を認めない。体表に血管拡張も認めない。【血液検査(平成20年11月)】WBC6000/μl Hb10.9g/dl MCV112fl Plt13.3×104/μl Alb3.5g/dl AST34IU/l ALT26IU/l γGTP299IU/l BUN23.5mg/dl Cr1.6mg/dl【画像検査所見】上部内視鏡検査ではLA分類でGradeCの逆流性食道炎の他に、十二指腸球部全体に発赤した結節状隆起の散在を認めた。腹部超音波検査では肝は軽度に腫大し内部エコーは全体に粗慥で門脈域は高輝度を呈していたが腹水や脾腫は認めなかった。両側の腎臓は萎縮を認め、腹部単純CT検査も同様の所見であった。十二指腸の組織検査で慢性炎症性細胞浸潤と強い線維化、粘膜筋板線維増生を認める再生性粘膜と石灰化した日本住血吸虫卵が認められた。便中の虫卵は陰性であり、画像検査所見と組織所見から陳旧性の日本住血急吸虫症と考えられた。【考察】国内においては山梨県での1996年の終息宣言以降、日本住血吸虫の新規感染者は発生していない。しかし、本例のような陳旧性症例の報告はあり、悪性腫瘍の合併が多いこと、肝硬変や門脈圧亢進症の原因となることも知られているため高齢者の十二指腸炎では一定の注意が必要と考えられた。 |
索引用語 | 日本住血吸虫, 十二指腸 |