セッション情報 一般演題

タイトル 47:

十二指腸に穿通した膵膿瘍の一例

演者 野中 敬(平塚市民病院 消化器科)
共同演者 今城 健人(平塚市民病院 消化器科), 斯波 忠彦(平塚市民病院 消化器科), 坂口 隆(平塚市民病院 消化器科), 厚川 和裕(平塚市民病院 消化器科), 高橋 久雄(平塚市民病院 消化器科)
抄録 【症例】72歳、男性【主訴】肝障害、炎症反応高値【既往歴】うつ病、糖尿病、アルコール性膵炎【現病歴】2008年2月より急性膵炎、仮性膵嚢胞に対して当院外来で通院加療中であった。通院中も断酒は行えず。2009年2月下旬の定期外来受診時に著明な肝障害と炎症反応高値を認め、精査加療目的で入院となった。【入院時現症】身長154cm、体重66.8kg、体温36.6℃、血圧104/52mmHg、脈拍92回/分・整、腹部は平坦軟で圧痛なし【検査値】WBC10900/μl、CRP5.51mg/dl、AST275IU/l、ALT235IU/l、ALP2200IU/l、γGTP523IU/l、T-Bil1.7mg/dl、Amy47IU/l【経過】腹部エコー検査にて十二指腸壁肥厚と膵頭部付近に不整なlow echoic lesionを認め、またそれに伴う総胆管の圧排が疑われた。CT検査では仮性膵嚢胞は以前のsizeより増大しており、十二指腸球部付近で一部境界が不明瞭であった。上部消化管内視鏡検査では、十二指腸球部前壁に頂部を白色壊死物質に被われた粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認め、膿汁の排液も観察された。同部位に内視鏡下にカテーテルを挿入し、ウログラフィンにて造影したところ十二指腸壁外に造影剤の貯留を認めた。造影直後のCT検査では膵嚢胞内が造影されていた。以上より、仮性膵嚢胞内感染と、その炎症波及に伴う十二指腸穿通と診断した。DIC-CT検査とMRCP検査では胆管との交通は否定的であった。外科と相談の上、穿通部より自然排膿がなされていることからも、抗生剤による保存的加療を続けた。肝障害、炎症反応は比較的速やかに改善し、第19病日に軽快退院となった。【結語】今回我々は、仮性膵嚢胞内感染に伴い十二指腸穿通をきたした症例を診断から治療まで経験する事が出来た。膵膿瘍の消化管穿通は比較的稀であり、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 膵膿瘍, 穿通