セッション情報 一般演題

タイトル 104:

副腎外褐色細胞腫の一例

演者 藍原 有弘(東京医科歯科大学 肝胆膵外科)
共同演者 アディクリスナ ラマ(東京医科歯科大学 肝胆膵外科), 岡島 千怜(東京医科歯科大学 肝胆膵外科), 村松 俊輔(東京医科歯科大学 肝胆膵外科), 吉武 健一郎(東京医科歯科大学 肝胆膵外科), 松村 聡(東京医科歯科大学 肝胆膵外科), 光法 雄介(東京医科歯科大学 肝胆膵外科), 村形 綾乃(東京医科歯科大学 肝胆膵外科), 野口 典男(東京医科歯科大学 肝胆膵外科), 工藤 篤(東京医科歯科大学 肝胆膵外科), 黒川 敏昭(東京医科歯科大学 肝胆膵外科), 中村 典明(東京医科歯科大学 肝胆膵外科), 田中 真二(東京医科歯科大学 肝胆膵外科), 有井 滋樹(東京医科歯科大学 肝胆膵外科)
抄録 症例は50歳男性。10年前より高血圧を指摘され、内服治療していた。2008年健診での腹部US検査にて膵頭部近傍の径7cm大の腹部腫瘤を指摘され、当院当科紹介となった。精査による血管造影検査中に脈拍数150bpm、収縮期血圧260mmHgと異常高血圧の所見を認め検査中止となった。頻脈、異常発汗、持続型の高血圧、血中、尿中ノルアドレナリンの高値を認め、画像所見から副腎外褐色細胞腫が疑われた。術前よりα遮断薬を投与、補液を行い術中の血圧の変動に備えた。手術所見では十二指腸水平脚を上縁とし、左は下腸間膜静脈を圧排しており、右は右尿管に接し、下縁は大動脈分岐部に到達する6cm大の腫瘍を認めた。下大静脈を含め、周囲臓器への浸潤は認めず、一塊に切除された。手術操作にて収縮期血圧200と上昇を認めたため、腫瘍本体には極力触れないように手術操作を行ったが、腫瘍を栄養していると思われる大動脈からの直接分枝および、下大静脈への腫瘍からの静脈分枝を切離したところ、血圧の変動は収まった。術後、カテコラミン投与を要したが、数日にて軽快し退院となった。病理所見ではExtre-adrenal paragangiomaの診断であり、WHOの悪性の指標では静脈侵襲、大きな胞巣、びまん性増殖、hyaline globeの欠如の4項目で合致していた。副腎外褐色細胞腫は比較的希な疾患であるが、手術による根治手術が第1選択である。手術に際しては、周囲臓器との位置関係の把握および、術前、術中、術後に血管作動薬等を用いた厳重な管理が重要であると思われる。また、病理学的に低悪性度であっても悪性の経過をたどることがあり、その経過を慎重に観察することが肝要である。我々は、比較的希な副腎外褐色細胞腫の1手術例を経験したので、若干の文献的考察をふまえて報告する。
索引用語 褐色細胞腫, 悪性高血圧