共同演者 |
関野 雄典(都立広尾病院 消化器内科), 鈴木 香峰理(都立広尾病院 消化器内科), 秋本 恵子(都立広尾病院 消化器内科), 高畑 彩子(都立広尾病院 消化器内科), 齋藤 久美子(都立広尾病院 消化器内科), 小山 茂(都立広尾病院 消化器内科), 稲森 正彦(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 窪田 賢輔(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 中島 淳(横浜市立大学附属病院 消化器内科) |
抄録 |
【症例】65歳, 男性.【主訴】吐血.【現病歴】平成19年8月11日に吐血し, 他医療機関に救急搬送された. 緊急上部消化管内視鏡検査にて胃静脈瘤破裂と診断され, SB tube挿入後, 加療目的にて当院に転院した.【入院時現症】意識清明, 体温37.0℃, 血圧113/57mmHg, 脈拍100回/分・整, 眼瞼結膜貧血あり, 眼球結膜黄染なし, 頚部・胸部・四肢に特記所見なし, 腹部軽度膨隆, 軟, 圧痛なし, 腸蠕動音正常. 【入院時検査所見】WBC 12400/ul, RBC 4.16×106/ul, Hb 13.2g/dl, Plt 3.3×103/ul, PT(INR) 1.39, T-Bil 1.8mg/dl, D-Bil 0.7mg/dl, AST 44U/l, ALT 44U/l, ALP 301U/l, GTP 170U/l, LDH 366U/l, TP 3.8g/dl, Alb 2.0g/dl, AMY 252U/, NH3 135ug/ml, CRP 0.3mg/dl, HBsAg(-), HCVAb(-). 【経過】11日当院搬送後GFを施行した. 胃静脈瘤は一部に出血後と思われるびらん部を認め, cyanoacrylateによる硬化療法を行った. 12日早朝に再度吐血し, 出血性ショックとなり, SB tubeによる一時止血の後, 再度GFを施行した. 5%Ethanolamine Oleate(EO)による硬化療法を施行した. 胃静脈瘤内へのEOの注入を確認し, シャント血管は造影されなかった. 処置後, 呼吸状態の悪化を認め, 人工呼吸管理とした. 胸部CTにて両肺野に著明な網状影を認めた. CTおよび心エコーにて明らかな肺塞栓や心機能低下は認めず, ARDSと診断した. その後, 加療を行ったが, ARDSおよび肝腎機能は悪化し, 多臓器不全(MOF)の状態となり, 8月15日死亡した. 【結論】胃静脈瘤に対する硬化療法後にARDSを発症した一例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. |