セッション情報 一般演題

タイトル 62:

胃静脈瘤硬化療法後にARDSを発症した一例

演者 藤澤 信隆(都立広尾病院 消化器内科)
共同演者 関野 雄典(都立広尾病院 消化器内科), 鈴木 香峰理(都立広尾病院 消化器内科), 秋本 恵子(都立広尾病院 消化器内科), 高畑 彩子(都立広尾病院 消化器内科), 齋藤 久美子(都立広尾病院 消化器内科), 小山 茂(都立広尾病院 消化器内科), 稲森 正彦(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 窪田 賢輔(横浜市立大学附属病院 消化器内科), 中島 淳(横浜市立大学附属病院 消化器内科)
抄録 【症例】65歳, 男性.【主訴】吐血.【現病歴】平成19年8月11日に吐血し, 他医療機関に救急搬送された. 緊急上部消化管内視鏡検査にて胃静脈瘤破裂と診断され, SB tube挿入後, 加療目的にて当院に転院した.【入院時現症】意識清明, 体温37.0℃, 血圧113/57mmHg, 脈拍100回/分・整, 眼瞼結膜貧血あり, 眼球結膜黄染なし, 頚部・胸部・四肢に特記所見なし, 腹部軽度膨隆, 軟, 圧痛なし, 腸蠕動音正常. 【入院時検査所見】WBC 12400/ul, RBC 4.16×106/ul, Hb 13.2g/dl, Plt 3.3×103/ul, PT(INR) 1.39, T-Bil 1.8mg/dl, D-Bil 0.7mg/dl, AST 44U/l, ALT 44U/l, ALP 301U/l, GTP 170U/l, LDH 366U/l, TP 3.8g/dl, Alb 2.0g/dl, AMY 252U/, NH3 135ug/ml, CRP 0.3mg/dl, HBsAg(-), HCVAb(-). 【経過】11日当院搬送後GFを施行した. 胃静脈瘤は一部に出血後と思われるびらん部を認め, cyanoacrylateによる硬化療法を行った. 12日早朝に再度吐血し, 出血性ショックとなり, SB tubeによる一時止血の後, 再度GFを施行した. 5%Ethanolamine Oleate(EO)による硬化療法を施行した. 胃静脈瘤内へのEOの注入を確認し, シャント血管は造影されなかった. 処置後, 呼吸状態の悪化を認め, 人工呼吸管理とした. 胸部CTにて両肺野に著明な網状影を認めた. CTおよび心エコーにて明らかな肺塞栓や心機能低下は認めず, ARDSと診断した. その後, 加療を行ったが, ARDSおよび肝腎機能は悪化し, 多臓器不全(MOF)の状態となり, 8月15日死亡した. 【結論】胃静脈瘤に対する硬化療法後にARDSを発症した一例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する.
索引用語 胃静脈瘤, ARDS