セッション情報 一般演題

タイトル 83:

腸閉塞を契機として診断された多発性骨髄腫に合併した腸管アミロイドーシスの一例

演者 坪内 美佐子(獨協医科大学 消化器内科)
共同演者 飯島 誠(獨協医科大学 消化器内科), 市川 団(獨協医科大学 消化器内科), 熊谷 今日子(獨協医科大学 消化器内科), 高木 勇人(獨協医科大学 消化器内科), 岡本 裕(獨協医科大学 消化器内科), 森田 賀津雄(獨協医科大学 消化器内科), 菅家 一成(獨協医科大学 消化器内科), 菅谷 仁(獨協医科大学 消化器内科), 平石 秀幸(獨協医科大学 消化器内科)
抄録 【症例】72歳 女性
【主訴】腹痛,腹満感
【既往歴】32歳 十二指腸潰瘍にて手術、49歳 子宮筋腫にて子宮卵巣全摘術、71歳 発作性心房細動、心室頻拍にてカテーテルアブレーション
【現病歴】腹部手術歴あり元来便秘気味であった。平成20年1月下旬より下剤を服用しても排便が不良となり、2月2日腹部膨満感,腹痛を主訴に当科受診。腹部X線、CT上著明な腸管ガスの貯留を認め、subileusの診断で2月3日入院した。
【経過】禁食、補液、胃管挿入にて治療開始後、排ガスあり腹満改善したため胃管を抜去し食事を開始した。2月11日腰椎圧迫骨折をきたしベッド上安静となった。その後再度嘔吐出現し、腹部X線上小腸ガス著明であり2月13日イレウス管を挿入した。3月6日 tube造影にて狭窄所見なくtubeを抜去した。入院時より低アルブミン血症認め、尿中B-J蛋白陽性,免疫電気泳動でIgG-κ型のM蛋白検出、骨髄穿刺施行にて形質細胞増加、骨髄低形成を認め多発性骨髄腫と診断した。4月4日上部消化管内視鏡施行、吻合部肛門側に潰瘍瘢痕を認め、生検を施行。十二指腸粘膜のコンゴーレッド染色にてアミロイド沈着を認め、腸管アミロイドーシスによる腸閉塞と診断した。4月12日症状改善なく再度イレウス管挿入となった。アミロイドーシスの治療として多発性骨髄腫に対する化学療法を検討したが全身状態などから断念された。その後、心房細動の頻回発作など全身的に悪化が進み5月19日死亡された。病理解剖では腸管、心臓など広範な組織にアミロイド蛋白の沈着が証明された。
【考察】非遺伝性アミロイドーシスのうち多発性骨髄腫に合併するものは、ALと呼ばれるアミロイドが全身に沈着し予後不良である。腸管アミロイドーシスは偽性腸閉塞をきたすことが知られており、本例は腸閉塞を契機に多発性骨髄腫と腸管アミロイドーシスが診断されたが、原疾患の治療は施行できず経過は不良であった。
索引用語 腸管アミロイドーシス, 多発性骨髄腫