セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 71:未分化型早期胃癌のリンパ節転移の検討‐未分化癌は内視鏡的切除の適応拡大となりうるか?‐ |
演者 | 平澤 俊明(癌研有明病院 消化器内科) |
共同演者 | 後藤田 卓志(がんセンター中央病院 内視鏡部), 宮田 敏(癌研究会 ゲノムセンター), 加藤 洋(癌研有明病院 病理), 谷口 浩和(がんセンター中央病院 病理), 下田 忠和(がんセンター中央病院 病理), 小田 一郎(がんセンター中央病院 内視鏡部), 山本 頼正(癌研有明病院 消化器内科), 藤崎 順子(癌研有明病院 消化器内科), 佐野 武(癌研有明病院 外科), 山口 俊晴(癌研有明病院 外科) |
抄録 | 【背景】分化型早期胃癌のリンパ節転移のrisk factorは明らかにされており、内視鏡的切除の適応内病変、適応拡大病変として積極的に内視鏡的切除が施行されている。一方、未分化型早期胃癌は我々の検討では、腫瘍内潰瘍がなく、20mm以下のM癌ではリンパ節転移を認めなかったが(0/141)、95%信頼区間は0~2.6%であり、リンパ節転移が陰性である根拠となる症例数が少なく、内視鏡的切除の適応拡大病変とするか、適応外病変とするかの結論は明確になっていない。前回の報告から9年が経過し、更に症例を蓄積し、再度検討を行った。【目的】未分化型早期胃癌のリンパ節転移のrisk factorを明らかにし、未分化型早期胃癌に対する内視鏡的切除の妥当性を検討する。【対象と方法】1969-2007年の癌研病院及び、がんセンター中央病院の単発の未分化型早期胃癌の手術症例を対象とした。性別、腫瘍部位、深達度、腫瘍径、腫瘍内潰瘍の有無、脈管侵襲の有無、リンパ節転移の有無をretrospectiveに検討した。 【結果】対象症例は3843例。男性2057例、女性1786例。M癌は2163例、SM癌は1680例。M癌のリンパ節転移陽性率は4.9%、SM癌は23.8%。20mm以下のリンパ節転移陽性率は7.0%、21mm以上は15.6%。潰瘍ありのリンパ節転移陽性率は13.4%、潰瘍なしは12.7%。脈管侵襲ありのリンパ節転移陽性率は44.2%、脈管侵襲なしは7.6%。多変量解析では深達度、腫瘍径、脈管侵襲が未分化型早期胃癌のリンパ節転移の独立危険因子であった。M癌、20mm以下、潰瘍なし、脈管侵襲陰性の310例ではリンパ節転移は認めなかった。(95%CI、0-0.96%)【考察】20mm以下のM癌で潰瘍なし、脈管侵襲陰性の未分化型早期胃癌のリンパ節転移の可能性は、M癌の標準的外科手術後の他病死を除いた5年生存率の99%と同等の成績であり、内視鏡的切除が外科手術と同等の根治性を有する可能性が示唆された。【結語】未分化型早期胃癌は20mm以下のM癌で潰瘍なし、脈管侵襲陰性の症例は内視鏡的切除の適応拡大病変とする妥当性が確認された。今後、未分化型早期胃癌の内視鏡的切除の他施設共同前向き試験が必要である。 |
索引用語 | 早期胃癌, リンパ節転移 |