セッション情報 一般演題

タイトル 88:

一卵性双生児の姉妹に発病した潰瘍性大腸炎例

演者 藤井 俊光 (東京医科歯科大学 消化器内科)
共同演者 長堀 正和(東京医科歯科大学 消化器内科), 亀井 啓史(東京医科歯科大学 消化器内科), 新田 沙由梨(東京医科歯科大学 消化器内科), 中川 美奈(東京医科歯科大学 消化器内科), 岡本 隆一(東京医科歯科大学 消化器内科), 戸塚 輝治(東京医科歯科大学 消化器内科), 土屋 輝一郎(東京医科歯科大学 消化器内科), 陳 正新(東京医科歯科大学 消化器内科), 永石 宇司(東京医科歯科大学 消化器内科), 大岡 真也(東京医科歯科大学 消化器内科), 鈴木 伸治(東京医科歯科大学 消化器内科), 中村 哲也(東京医科歯科大学 消化器内科), 荒木 昭博(東京医科歯科大学 消化器内科), 坂本 直哉(東京医科歯科大学 消化器内科), 渡辺 守(東京医科歯科大学 消化器内科)
抄録 潰瘍性大腸炎の発症には遺伝的要素や免疫学的異常、環境因子などが関与していると考えられるが、決定的なものは特定されておらず、複数の要素が複雑に絡み合いながら病態を形成しているものと考えられている。遺伝的要因の解明には環境因子に差異の少ない家族内発症例の検討が重要であると考えられる。今回われわれは一卵性双生児の姉妹に発症した潰瘍性大腸炎の一家系を経験したので報告する。症例は1982年生まれの一卵性双生児。妹は1999年(17歳)に粘血便で発症、潰瘍性大腸炎遠位大腸炎型と診断され、5-ASA内服および症状増悪時にステロイド座剤にて緩解維持されていた。2006年11月より下痢の悪化と血便を認め当院初診、入院となった。左側大腸炎型、厚労省重症度分類:中等症で経口ステロイド投与により緩解導入された。以降5-ASAにて緩解維持されている。姉は1998年(18歳)頃より時に粘血便を認めることがあったが自然軽快するため放置していた。2008年7月より下痢と血便が増悪し、8月近医にて潰瘍性大腸炎と診断、5-ASA開始となったが改善せず当院紹介入院となった。厚労省重症度分類:重症、前医での下部消化管内視鏡にて全大腸炎型であった。経静脈ステロイド投与にて緩解導入されたが、ステロイド離脱困難であり2009年3月よりAZA導入となった。両例とも発症時期は近似しているが病型や治療反応性は異なっている。また、両例とも腸管外合併症はなく両親および同胞の姉に炎症性腸疾患の発症はない。クローン病に比し潰瘍性大腸炎の家族内発症率は10分の1で、一卵性双生児の潰瘍性大腸炎発症はまれである。HLA型、特にHLA-DRB1が潰瘍性大腸炎の発症との関連があるという報告もあり、当症例においても遺伝学的背景について検討し文献的考察を加えて報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 一卵性双生児