セッション情報 一般演題

タイトル 51:

膵癌の浸潤によって生じた十二指腸‐胆嚢管瘻に対し、十二指腸へのcovered metallic stentの留置が有効であった1例

演者 西尾 友子(横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター)
共同演者 杉森 一哉(横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター), 佐々木 智彦(横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター), 金子 卓(横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター), 天野 歩(横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター), 沼田 和司(横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター), 田中 克明(横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター)
抄録 症例は68歳、男性。多発性肝転移、十二指腸狭窄を伴う膵頭部癌に対し胃空腸バイパス術を行った後、gemcitabineによる化学療法をprogression diseaseと判定されるまで7コース施行した。その後外来で経過観察中に急性胆嚢炎を発症し入院した。CT上胆嚢壁の肥厚と胆嚢内と胆管内に空気像を認め、胆道‐消化管瘻の形成が疑われた。経皮的な穿刺ルートがないことと著しい衰弱がみられたことより、絶食、抗生剤投与による保存的加療を行ったが、食事の再開によって胆嚢炎が再燃するため、保存的治療の限界と判断した。内視鏡挿入下にガストログラフィンによる消化管造影を行ったところ、十二指腸狭窄部と胆嚢管に形成された瘻孔を介し、胆嚢及び胆管が描出された。同部からの逆行性胆道感染と判断し、十分なインフォームドコンセントのもとcovered metallic stent留置による瘻孔閉鎖を行う方針とした。十二指腸狭窄部をバルーンで拡張した後にcovered Ultraflex(径:17、22mm、長さ:10cm)を留置し、直後に行った造影で瘻孔の閉鎖が確認された。食事の再開後も胆嚢炎の再燃はなく、退院が可能となった。狭窄解除を目的とした十二指腸へのstent留置は広く行われているが、消化管‐胆道瘻の閉鎖を目的とした留置の報告はなく示唆に富む症例であった。本例のような病態において十二指腸へのcovered metallic stent留置は選択肢の一つになると考える。
索引用語 十二指腸ステント, 十二指腸胆道瘻