セッション情報 一般演題

タイトル 79:

好酸球性胃腸症の1例

演者 成松 和幸(防衛医科大学校病院 内科2)
共同演者 清水 基規(防衛医科大学校病院 内科2), 佐藤 宏和(防衛医科大学校病院 内科2), 早坂 健司(防衛医科大学校病院 内科2), 佐藤 知己(防衛医科大学校病院 内科2), 上田 俊秀(防衛医科大学校病院 内科2), 東山 正明(防衛医科大学校病院 内科2), 高本 俊介(防衛医科大学校病院 内科2DELIMITER防衛医科大学校 光学医療診療部), 中村 光康(防衛医科大学校病院 内科2), 穂苅 量太(防衛医科大学校病院 内科2), 川口 淳(防衛医科大学校病院 内科2), 永尾 重昭(防衛医科大学校病院 内科2DELIMITER防衛医科大学校 光学医療診療部), 三浦 総一郎(防衛医科大学校病院 内科2DELIMITER防衛医科大学校 光学医療診療部)
抄録 【症例】39歳女性。1ヶ月ほど前から心窩部痛を認めていたが次第に増強し、下腹部痛とともに下痢・嘔吐が出現したため近医を受診、ホスホマイシンを処方されたが症状が持続し、腹部エコーにて腹水を認めたため当院紹介受診となった。初診時身体所見は体温38.0℃、前胸部に紅斑が散在し、右季肋部から側腹部に著明な圧痛を認めていた。採血にて肝胆道系酵素の上昇と軽度の炎症所見を認めており、総胆管結石陥頓やFitz-Hugh-Curtis症候群も疑われたため精査加療目的で入院となった。入院時検査所見はT-bil 0.6mg/dl, AST/ALT 36/67IU/L, ALP/γGTP 640/130IU/L, TP/Alb 7.1/4.1, BUN/Cr 4/0.44mg/dl, CRP 1.6mg/dl, WBC 9700/ul, Hb 14.8g/dl, Plt 21.6万/ulで白血球分画は好中球優位であった。【入院後経過】CTにて肝周囲に腹水の貯留を認め、回腸と右半結腸の壁肥厚を認めた。明らかな胆石や総胆管結石は認めず、また婦人科での頚管クラミジアPCR、膣培養検査は陰性であった。禁食と補液にて発熱、腹痛は改善し、好中球の低下とともに好酸球の増加が明らかとなった。発熱・腹痛の改善後も1日4~8回の下痢は持続していたため、好酸球性胃腸症を疑い精査目的で上部・下部消化管内視鏡を施行した。上部消化管内視鏡では十二指腸下行脚に全周性の絨毛の発赤・腫大を、下部消化管内視鏡でも回盲部から直腸まで散在性の発赤を認め、生検にて高度の好酸球浸潤を認めた。以上の所見と寄生虫、血管炎を含む膠原病、血液疾患を可能な限り除外し、好酸球性胃腸症と診断した。診断後、プレドニゾロン40mg内服を開始し、すぐに腹痛・下痢は消失した。その後の経過は良好で、入院より24日目に退院となった。退院後プレドニゾロンを漸減し現在5mg内服にて経過観察しているが症状の再燃はみられない。【結語】急激な腹痛と腹水貯留を契機に診断された好酸球性胃腸症の1例を経験した。本例のように著明な腹痛と腹水貯留が初発症状として現れる症例も少なくなく、腹膜炎と診断され緊急手術が行われた例もあり鑑別の一つとして念頭に置く必要があると考えられた。
索引用語 急性腹症, 好酸球性胃腸症