セッション情報 一般演題

タイトル 97:

髄膜癌腫症を来たしたColitic cancer の1例

演者 屋良 昭一郎(東京医科大学霞ヶ浦病院)
共同演者 岩本 淳一(東京医科大学霞ヶ浦病院), 下河辺 宏一(東京医科大学霞ヶ浦病院), 木戸 こずえ(東京医科大学霞ヶ浦病院), 伊藤 真典(東京医科大学霞ヶ浦病院), 平山 剛(東京医科大学霞ヶ浦病院), 斎藤 吉史(東京医科大学霞ヶ浦病院), 池上 正(東京医科大学霞ヶ浦病院), 松崎 靖司(東京医科大学霞ヶ浦病院)
抄録 今回我々は、髄膜癌腫症を来たし急速な増悪をきたしたColitic cancerを経験した。症例:37歳男性。主訴:下腹部痛。現病歴:19歳時に左側型潰瘍性大腸炎と診断され、内科的治療を施行されていた。29歳時から病状が安定しているとの理由で受診を自己中断し、その後加療を受けていなかった。また約1年前から血便を自覚するも放置していた。平成18年10月から血便が増悪し当院を受診された。入院時現症:身長17cm、体重7kg、血圧115/82mmHg、脈拍102回/分整、体温36.5℃、皮膚に異常認めず。胸部は理学的所見に異常認めず。腹部は下腹部に腫瘤を触知し圧痛を認めた。入院時検査成績:Hb;9.9g/dl、CRP;3.17mg/dl血沈;49mm/1h、CEA;18.6ng/ml、ツベルクリン反応は弱陽性、便培養常在菌のみ、便抗酸菌培養は陰性。。大腸内視鏡検査(初診時):直腸に全周性3型腫瘍性病変を認めた。病理学的には低分化腺癌および一部でsignet-ring cellが確認された。腹部骨盤CTによる精査では、肝臓等の明らかな遠隔転移は指摘できないものの、直腸の漿膜外浸潤や所属リンパ節の転移が疑われた。治療法は外科的切除を選択し、平成18年11月大腸全摘術、回腸人工肛門造設術を施行した。また術後はFOLFOXによる化学療法を開始した。平成20年6月CT等による画像では明らかな再発を指摘できなかったが、CEA値が上昇を示したため、化学療法をFOLFORIに変更した。またCEA値上昇が続くため全身検索としてPETを施行したが明らかな異常集積は指摘できなかった。平成20年9月になり後頭部痛が急に出現したため、9月8日神経内科に入院された。頭部CTやMRIにては明らかな腫瘍性病変は指摘できなかったが、髄液検査にて髄圧上昇所見と、細胞診にてclassVで腺癌細胞が検出され、髄膜癌腫症と診断した。この後急速に全身状態が悪化し、9月18日永眠された。髄膜癌腫症は脳脊髄膜に癌細胞が弥漫性に浸潤し、髄膜刺激症状や末梢神経障害を呈す病態であり、消化器悪性疾患では胃癌が最も多く大腸癌では稀である。また検索範囲ではcolitic cancerでの合併は報告がなく貴重な症例と思われ報告する。
索引用語 Colitic cancer , 髄膜癌腫症