セッション情報 一般演題

タイトル 49:

特異な形態を呈した多発肝転移を伴う嚢胞性膵尾部癌の一例

演者 田上 大祐(東芝病院 消化器内科)
共同演者 冨田 高重(東芝病院 消化器内科), 田代 淳(東芝病院 消化器内科), 手島 一陽(東芝病院 消化器内科), 金原 猛(東芝病院 消化器内科), 松原 康朗(東芝病院 消化器内科), 三輪 純(東芝病院 消化器内科), 太田 裕彦(東芝病院 消化器内科), 新井 雅裕(東芝病院 消化器内科)
抄録 症例は2型糖尿病で当院外来に通院中の64才男性。嘔気、心窩部痛を主訴に平成20年12月31日救急外来を受診。理学的所見において心窩部に軽度の圧痛を認めた。血液検査では、肝胆道系酵素およびCRPが上昇し、腫瘍マーカーが高値(CEA:54.0 ng/ml、CA-19-9:>100000 U/ml、DUPAN-2:>1600 U/ml)を示した。腹部造影CT検査では膵尾部に3 cmの造影不良域があり、その腹側に壁の薄い5.5 cm大の不整形な嚢胞性病変を認めた。また、肝外側区から内側区には、約6 cmおよび3.5 cmの結節が癒合したようなダルマ型の腫瘤が存在し、腫瘤内部には、そのCT値から血性内容と考えられる液面形成を認め、辺縁部には造影される被膜様充実部分を伴っていた。2週後のCTでは、肝腫瘍内の液面形成像は消失し、均一でlow densityな嚢胞性病変として描出され、腫瘍内出血の経過をみているものと思われた。MRIでは、膵尾部、肝内いずれの病変も、T1強調像にて高信号を呈し、血性成分による修飾があると考えられ、MRCPでは、主膵管はおおむね保たれていた。肝内の病変より吸引細胞診を行ったところ、adenocarcinomaの所見が得られ、画像診断と合わせて、膵尾部癌および肝転移と診断した。本症例のような嚢胞性変化は、比較的稀と考えられ、文献的考察を含め報告する。
索引用語 嚢胞性膵尾部癌, 腫瘍内出血