セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 46:アルコール多飲を背景にもち膵炎による大腸狭窄をきたした2例 |
演者 | 唐澤 千裕(国保匝瑳市民病院 内科DELIMITER総合病院国保旭中央病院 内科) |
共同演者 | 中村 朗(総合病院国保旭中央病院 内科), 志村 謙次(総合病院国保旭中央病院 内科) |
抄録 | 【症例1】46歳男性。糖尿病、急性膵炎の既往あり焼酎2合/日の大酒家であった。上腹部痛を主訴に来院、急性アルコール性膵炎にて入院となった。保存的加療で軽快傾向であったが第25病日発熱、左側腹部痛あり、CTでは感染を伴う多房性嚢胞と下行結腸に及ぶ炎症性狭窄を認めた。抗生剤投与にて嚢胞は縮小し注腸造影でも下行結腸狭窄は著明に改善した。第68病日軽快退院となった。 【症例2】86歳男性。糖尿病、前立腺癌の既往あり日本酒2合/日の大酒家であった。10日前からの食欲不振を主訴に来院、低血糖発作を認め経口糖尿病薬を中止したが食欲改善なくその後発熱もみられ入院となった。CTでは下行結腸からS状結腸にかけての内腔の保たれた全周性壁肥厚、膵体尾部の嚢胞、膵内石灰化と周囲の脂肪織濃度上昇を認めた。アルコール性慢性膵炎の急性増悪による大腸狭窄と考えられ保存的加療としたが腹部膨満感増悪、第4病日には下行結腸狭窄による機械的腸閉塞をきたした。大腸内視鏡では粘膜浮腫が強く内腔狭小化を認め粘膜のびらん、発赤を認めた。第5病日人工肛門造設術施行、腸管安静と抗生剤投与にて膵炎の軽快と腸管浮腫の改善を認め第55病日軽快退院となった。 【考察】膵炎に伴う大腸合併症については出血、壊死、穿孔、瘻孔、狭窄が知られており手術が施行された例も多い。膵炎による大腸狭窄は本邦で検索し得る範囲では自験例を含め29例の報告があった。アルコール性膵炎を背景に生じている傾向があり、アルコール性膵炎の機序、膵炎による炎症の波及が大腸狭窄を来たす機序を含めて若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 膵炎, 大腸狭窄 |