セッション情報 |
パネルディスカッション10(消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
消化管GIST治療の進歩と長期予後
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タイトル |
消PD10-8:GISTに対するグルコース連結光感受性物質を用いた新規光線力学的治療の基礎的検討
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演者 |
田中 守(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学) |
共同演者 |
片岡 洋望(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学), 城 卓志(名古屋市立大大学院・消化器・代謝内科学) |
抄録 |
【目的】GISTは2cm以上のものは外科的切除がなされるが,2cm以下のものは臨床現場では経過観察されることが多い.しかし,2cm以下でも他臓器に転移をきたした報告もあり,有効な治療法の確立が望まれる.GISTはPET検査で陽性を示すように高効率に糖を取り込むことから,糖鎖連結抗腫瘍薬がGIST細胞に選択的に取り込まれる可能性が高い.光線力学的治療は,光感受性物質の腫瘍組織への特異的な集積と特定波長の光線照射による活性酸素の惹起で,腫瘍細胞を選択的に破壊する低侵襲な治療法である.グルコース連結クロリンは,光感受性物質であるクロリンにグルコースを結合させることにより合成した新規薬剤である.今回我々は,GIST細胞に対する糖鎖連結クロリンによる抗腫瘍効果を線維芽細胞に対する効果と比較検討した.【方法】1.GIST細胞株GIST-T1,線維芽細胞株WI-38に糖鎖連結クロリンを投与し,FACSにて細胞内への取り込みを検討した.Real time PCRによりグルコース取り込み受容体であるGLUT-1, GLUT-4の発現を評価した.2.薬剤投与下に660nmの赤色LEDを16J/cm2照射し,殺細胞効果を検討した.3.ヌードマウス背部皮下にGIST-T1を移植し,糖鎖連結クロリンを尾静脈より注入し,スペクトロメーターをもちいて腫瘍組織への集積を検討した.4.薬剤投与4時間後に赤色LEDを40J/cm2照射し腫瘍縮小効果を検討した.【結果】1.GIST-T1はWI-38に比べ有意に高い糖鎖連結クロリンの細胞内への取り込み能を認めた. GIST-T1がGLUT-1, GLUT-4を発現していることを確認した.2.GIST-T1ではWI-38より有意に低い濃度で強力な殺細胞効果が見られた.3.蛍光診断装置により周囲の正常組織に比べ腫瘍組織に強い糖鎖連結クロリンの集積が認められた.4.GIST細胞移植腫瘍に対して腫瘍縮小効果を認めた.【結論】糖鎖連結クロリンによる新規光線力学的治療はGIST細胞に対し強い殺細胞効果を示し,GISTに対する低侵襲な治療法として期待されると考えられた. |
索引用語 |
GIST, 光線力学的治療 |