セッション情報 パネルディスカッション11(肝臓学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

門脈圧亢進症-新たな画像診断法と治療

タイトル 内PD11-1:

門脈圧亢進症患者におけるカプセル内視鏡による小腸病変の検討

演者 苗代 典昭(広島大・消化器・代謝内科)
共同演者 相方 浩(広島大・消化器・代謝内科), 茶山 一彰(広島大・消化器・代謝内科)
抄録 【目的】門脈圧亢進症患者における小腸病変について,カプセル内視鏡(CE)を用いて検討する.【対象および方法】対象は,消化管精査を目的にCEが行われた門脈圧亢進症患者70例.年齢中央値67歳.男/女40/30例.Etiologyは,HCV/HBV/NBNC 45/8/17例(NBNC詳細:alcohol/NASH/PBC/IPH/原因不明 8/2/1/2/4例).Child-Pugh grade A/B/C: 39/27/4例.これら門脈圧亢進症患者における小腸病変(PHE)について,頻度,内訳,病変分布を検討した.また,PHE合併例と非合併例において,背景因子,肝予備能,脾腫,門脈系側副路の発達(CT MPR像で評価),門脈血栓,肝癌合併の有無との関連について検討した. 【結果】1) 46例(66%)に小腸病変(PHE)を認めた.病変の内訳は,発赤36例 (51%),びらん12例 (17%),毛細血管拡張8例 (11%),静脈瘤2例 (3%),絨毛浮腫3例 (4%) であった.このうち,出血を認めた毛細血管拡張症1例に対し,ダブルバルーン内視鏡下にポリドカノール局注により止血処置を行った.病変分布は空腸21例(46%),回腸15例(33%),全小腸10例(22%)であった. Child-Pugh grade B/C症例での病変の内訳は,発赤/びらん/毛細血管拡張/静脈瘤/絨毛浮腫:19例 (61%) / 8例 (26%) / 2例 (6%) / 2例 (6%) / 3例 (10%)であり,静脈瘤と絨毛浮腫はChild-Pugh grade B/C症例のみに認めた. 2) これら小腸病変の有無と各種因子の比較では,PHEは,Child-Pugh B/C症例(P = 0.0024),有腹水症例(P = 0.0015),門脈血栓合併例(P = 0.0026)において,有意に多く認められた. 【結語】門脈圧亢進症患者に対するCEにおいて,66%の症例に何らかの小腸病変を認め,その内訳は発赤が最も多かった.これらの小腸病変は,肝予備能不良例,門脈血栓合併例に有意に高頻度であり,特に,原因不明の消化管出血が疑われる門脈圧亢進症患者においては,CEによる小腸病変の検索が必要と考える.
索引用語 門脈圧亢進性腸炎(PHE), 小腸病変