セッション情報 |
パネルディスカッション11(肝臓学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
門脈圧亢進症-新たな画像診断法と治療
|
タイトル |
内PD11-2:門脈圧亢進症に伴うGAVE(gastric antral vascular ectasia)に対する内視鏡治療の問題点と対策
|
演者 |
佐藤 隆啓(札幌厚生病院・消化器科) |
共同演者 |
山崎 克(札幌厚生病院・消化器科), 木村 睦海(札幌厚生病院・消化器科) |
抄録 |
(目的)Gastric antral vascular ectasia(GAVE)は消化管出血の原因となる比較的稀な疾患で、肝硬変や門脈圧亢進症の患者に頻度が多い。(対象)GAVEと診断し、内視鏡的治療を行なった34例(男性15例、女性19例、平均年令68.5歳)を対象とした。アルゴンプラズマ凝固療法(APC)を22例に、内視鏡的結紮術(EBL)を12例に施行した。GAVEの患者背景(静脈瘤治療歴、肝予機能)、診断における内視鏡所見の特徴、内視鏡治療後の再発率、予後について検討した。(結果)34例全例に貧血を認め、このうち21例にタール便が観察された。基礎疾患は肝硬変26例、肝癌合併肝硬変6例、特発性門脈圧亢進症2例であった。肝硬変の原因はB型肝炎3例、C型肝炎17例、アルコール6例、原因不明6例であった。肝予備能はChild A 6例、B 21例、C 7例であった。34例中28例に食道静脈瘤の治療歴があり、その他の6例には食道・胃静脈瘤の合併を認めた。内視鏡所見ではびまん性に点状から斑状の毛細血管拡張症を認め、NBIを併用することで病変の拡がりが理解しやすくなった。また、胃前庭部の運動亢進を34例全例に認めた。治療後の出血再発率はAPC群 68.2%(観察期間16.6ヶ月)であったのに対し、EBL群では 8.3%(観察期間14.6ヶ月)と有意にEBL群で出血再発が低率であった。また、APCを施行した2例(肝機能不良例1例、高度門脈圧亢進症1例)の死因は出血関連死であった。(結論)GAVEは肝機能不良例に多く、大部分の症例に食道静脈瘤の治療歴があった。内視鏡治療ではAPC群に再発が多かったのに対し、EBLは出血再発が低率で有効な治療法と考えられた。 |
索引用語 |
GAVE, EBL |