セッション情報 |
パネルディスカッション11(肝臓学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)
門脈圧亢進症-新たな画像診断法と治療
|
タイトル |
肝PD11-3:脾臓における造影超音波検査は、門脈圧を推定しうる画像診断法である
|
演者 |
嶋田 太郎(千葉大・消化器内科) |
共同演者 |
丸山 紀史(千葉大・消化器内科), 横須賀 收(千葉大・消化器内科) |
抄録 |
【目的】微小気泡を使用した超音波検査は、臓器血流の微細な変化を実時間で観察することができる。今回我々は、ソナゾイド造影超音波により脾動静脈の経時的な血流変化を観察し、脾臓における気泡の循環動態と門脈圧の関連を明らかにした。【方法】対象はコントロール群29例(57.8±17.5歳、男20、女9)と経皮経肝門脈造影または肝静脈造影検査にて門脈圧(直接計測または閉塞肝静脈圧)を測定した肝疾患群71例(肝硬変65、特発性門脈圧亢進症4、慢性肝炎2、62.3±11.9歳、男41、女30)である。ソナゾイド(0.0075ml/kg)静注後、脾門部を含む脾断面を1分間連続撮像し(MI0.25、15Hz)、脾動静脈の時間輝度曲線を作成した。脾動脈造影発現時間(秒)を求め、同値と脾静脈最大輝度時間の差を脾臓循環時間(秒)とした。なお本研究は当院IRB承認の臨床試験として、各例より同意取得のうえ実施した。【成績】脾動脈造影発現時間は、コントロール群(14.0±3.8)に比べ肝疾患群(11.9±3.7、p=0.0128)で有意に短縮していたが、門脈圧との関連は認めなかった。一方、脾臓循環時間はコントロール群(8.9±2.3)に比べ肝疾患群(15.5±3.7、p<0.0001)で有意に延長し、門脈圧とも有意な正の相関を示した(r=0.5242, p<0.0001)。脾臓循環時間は肝硬変例において、肝静脈圧較差(HVPG;61例)とも有意な正の相関を示し(r=0.4582、p<0.0001)、静脈瘤出血の高リスク群であるHVPG≧12mmHg群(49例、16.0±3.5)では、HVPG<12mmHg群(12例、12.6±3.1)に比べ有意に延長していた(p=0.0028)。なお脾臓循環時間は脾容量や肝重症度、腹水の有無とは関連を認めなかった。このように、脾における気泡の振る舞いは門脈圧と深く関係し、門亢症に伴った脾循環の抑制を反映したものと考えられた。【結論】脾臓の造影超音波は、門脈圧を非侵襲的に推定することが可能で、門亢症における新たな画像診断として位置づけられる。今後は、静脈瘤出血や予後の予測、薬物治療の効果判定などへの応用が期待される。 |
索引用語 |
門脈圧亢進症, 脾 |