セッション情報 パネルディスカッション11(肝臓学会・消化器病学会・消化器内視鏡学会・消化器外科学会合同)

門脈圧亢進症-新たな画像診断法と治療

タイトル 消PD11-4:

脾硬度と門脈圧亢進症

演者 詫間 義隆(倉敷中央病院・消化器内科)
共同演者 守本 洋一(倉敷中央病院・消化器内科), 高畠 弘行(倉敷中央病院・消化器内科)
抄録 【目的】肝硬変(LC)患者に対し食道静脈瘤(EV)の拾い上げが大切であるが内視鏡検査は侵襲的でより簡便で非侵襲的な検査が期待される. 我々はLC患者のChild分類, 成因別(viral , non-viral)に脾硬度(SS)のEV診断能を評価し, EV悪化,破裂の予測指標としてSSの有用性を前向きに検討した.さらにSSと門脈圧(肝静脈圧較差,HVPG)との関連,B-RTO後のEV悪化予測の有用性についても検討した.【方法】対象はLC340症例. SS, 肝硬度(LS)は超音波によるVirtual Touch Tissue Quantification によるせん断弾性波速度(m/s)で測定.SS,LSによるEV診断能をROC解析で評価した.そのcutoff値をもとに内視鏡的経過観察した未治療EV40例を2群に層別化しEV悪化,EV破裂率をlog-rank検定で評価. LC13例に対しSS, LSとHVPGとの相関(Spearman),さらに胃静脈瘤(GV)8例にB-RTO施行し肝脾硬度とEV発症や増悪の関連性を検討した. 【成績】(1)340例中132例(38.8%)にEV合併した. SS値はEV群 3.74±0.30, 非EV群3.03±0.41, LS値はEV群2.92±0.51,非EV群2.40±0.59,でEV群がSS,LS値とも有意に高値であった(p<0.0001) .EV診断能としてのAUROCはSS=0.933, LS=0.746でLSに比べSSが有意(p<0.0001)に優れた指標でSSのcutoff 3.44で感度89%、特異度93%であった. high-risk EV (F2/F3 or RC陽性, HEV)のSSのAUROCは0.934 でcutoff 3.65で感度81%、特異度93%. Child分類および成因別サブクループ解析ではSSのEV, HEV に対するAUROCは肝予備能や成因にかかわらずすべて0.92以上で優れていた.(2) EV40例中11例が増悪し7例が破裂した. SS3.44以上はSS3.44未満に比べ有意にEV増悪率が高く(p=0.038), EV破裂全例SS3.65以上でSS3.65未満はEV破裂を認めなかった (p=0.001).(3) SSとHVPGの 相関r=0.77 (p=0.002) ,LSとHVPGの相関r=0.65( p=0.015)であった.(4)B-RTOしたGV全例HVPG, SS, LSいずれも術直後上昇し3カ月後のSSがEV悪化群(n=4)で3.44以上,非悪化群(n=4)は3.44未満であった.【結論】SSはLCの成因,肝予備能問わずEV診断に有用で門脈圧とより強く相関しEV悪化や破裂予測にも有用であった.
索引用語 脾硬度, 食道静脈瘤