セッション情報 一般演題

タイトル

FICEを併用した非びらん性胃食道逆流症の内視鏡診断

演者 宮坂 光俊(九州大学病院 別府先進医療センター 放射線科)
共同演者 平川 雅和(九州大学病院 別府先進医療センター 放射線科)
抄録 【目的】FICE(FUJI Intelligent Color Enhancement)を併用して食道胃接合部の色調変化について詳細に評価し、非びらん性胃食道逆流症(NERD)の内視鏡診断におけるFICEの有用性について検討した。【対象】2006年4月から2008年5月までの間に当院にて内視鏡検査を施行した症例のうち、食道下部が十分に伸展され評価可能な内視鏡画像を有し、かつ明らかな器質的疾患などを除外した57例。【方法】Fスケール問診票での合計スコア(Fスコア)が8点以上(うち、逆流症状1点以上)の症例をNERD の診断基準とし、それ以外の症例を非NERDとした。使用した内視鏡はEG590WRで、プロセッサーはEPX- 4400 システム Sapientia(いずれもフジノン東芝ESシステム社)であった。内視鏡画像処理および解析は分光反射率シュミレーションソフト(フジノン東芝ESシステム社)を用いてretrospectiveにFICE画像を作成し、NERD群と非NERD群での通常画像およびFICE画像における食道胃接合部の色調変化の有無、程度、範囲を評価した。また、二人の内視鏡検査医にも通常画像およびFICE画像での食道胃接合部における色調変化について評価してもらった。さらに、NERDとして実際に治療された症例のPPIの治療効果の有無と食道胃接合部の色調変化の関係について検討した。【成績】通常画像のみよりもFICE画像を併用することで、食道胃接合部における色調変化をより多くとらえる傾向があり、NERD群では色調変化がある症例が、より高頻度に認められる傾向があり、かつ、より高度な色調変化が認められた(p<0.01)。また、二人の内視鏡検査医間の所見の一致率も、通常画像のみで65%(37/57)であったものが、FICE画像を併用することで84.2%(48/57)と上昇した。さらに、実際にNERDとしてPPIにて治療された17症例のうち、食道胃接合部の色調変化が見られた症例は76%(13/17)で、そのうちPPIの有効率は85%(11/13)であった。【結果】FICEは食道胃接合部の色調変化をより詳細、かつ客観的に評価することが可能であり、NERDの内視鏡診断におけるFICEの有用性が示唆された。
索引用語 非びらん性胃食道逆流症, FICE