セッション情報 |
一般演題
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タイトル |
Lansoprazole によるcollagenous colitis の1例
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演者 |
中野 良(特定医療法人祐愛会 織田病院 内科) |
共同演者 |
坂田 泰志(特定医療法人祐愛会 織田病院 内科), 江口 仁(特定医療法人祐愛会 織田病院 内科), 井手 康史(特定医療法人祐愛会 織田病院 内科), 朝長 元輔(特定医療法人祐愛会 織田病院 内科), 松永 圭司(特定医療法人祐愛会 織田病院 内科), 西山 雅則(特定医療法人祐愛会 織田病院 内科) |
抄録 |
症例は79歳、女性。高血圧、肥大型心筋症、逆流性食道炎で当院内科へ通院中であった。rabeprazoleを10ヵ月間内服後にlansoprazoleへ変更となる。約2ヵ月経ってから下痢が始まった。症状が改善せず、1日5~6行の水様下痢となった。lansoprazole内服5ヵ月後、下痢出現後3ヶ月後の大腸内視鏡検査では直腸、結腸に散在性に血液の付着が認められたが、洗浄ではびらんや潰瘍ははっきりしなかった。結腸、直腸の正常にみえる粘膜から計9個生検を施行した。すべての生検組織で粘膜固有層上皮直下にcollagen bandの肥厚が認められ、Masson-trichrome 染色で同部は青色に染色された。血液生化学検査では白血球3300/μl、CRP0.02mg/dlと炎症所見は認めなかったが、総蛋白5.1g/dl、アルブミン3.2g/dlと低蛋白血症を呈していた。便培養で病原菌陰性であった。内視鏡検査後にlansoprazoleを中止し、rabeprazoleへ戻したところ、症状は改善し、1ヵ月で症状は消失した。以上からlansoprazole によるcollagenous colitisと診断した。4ヵ月後の総蛋白は6.8g/dl、アルブミン4.3g/dlと正常化していた。collagenous colitis は本邦では比較的稀な疾患である。リンパ球の浸潤を主とするlymphocytic colitisと併せてmicroscopic colitis とも呼ばれている。薬剤が原因となることがあり、NSAIDsなど多くの種類の報告がされている。プロトンポンプ阻害剤ではlansoprazoleの報告があり、低蛋白血症による浮腫や下血を生じたとの報告もみられる。lansoprazoleを内服中に下痢を訴えた場合は、生検を含めた大腸内視鏡検査を行い診断を確定すべきだと思われた。 |
索引用語 |
collagenous colitis, lansoprazole |