セッション情報 一般演題

タイトル

特発性胆嚢穿孔の1例

演者 内田 博喜(国立病院機構別府医療センター 外科)
共同演者 増田 崇(国立病院機構別府医療センター 外科), 松本 敏文(国立病院機構別府医療センター 外科), 矢田 一宏(国立病院機構別府医療センター 外科), 武内 秀也(国立病院機構別府医療センター 外科), 林 洋(国立病院機構別府医療センター 外科), 池田 陽一(国立病院機構別府医療センター 外科), 吉河 康二(国立病院機構別府医療センター 病理部), 武藤 庸一(国立病院機構別府医療センター 外科)
抄録 【はじめに】胆嚢穿孔はそのほとんどが胆石症や急性胆嚢炎に起因するものであるが、それらの原因を認めない特発性胆嚢穿孔を経験したので報告する。【症例】68歳、男性。平成21年2月20日午前11時から突然右季肋部から背部にかけての激しい痛みを自覚し、近医を受診した。腹部CT検査にて胆嚢の腫大と周囲腹水の貯留を認め、急性胆嚢炎の診断で当院救急部に紹介搬送された。当院受診時、右上腹部に筋性防御を認め、当院での腹部US検査では胆嚢結石はなく腹部CT検査(前医から約2時間後)では周囲腹水の増加と胆嚢腫大の軽減を認めたことから、胆嚢穿孔を疑い緊急手術を施行した(発症から約5時間)。手術所見:腹腔内には下腹部まで胆汁性腹水を認め、胆嚢底部に壊死性変化があり同部から胆汁の漏出を認めた。胆嚢壁は全体に浮腫性変化を呈していたが他に壊死性変化はなく胆石や胆嚢捻転の所見を認めなかった。術中胆道造影にて総胆管に異常所見を認めなかった。胆嚢を摘出し腹腔内を洗浄し手術を終了した。術後経過は良好で術後10日目に退院した。腹水細菌培養は陰性であった。病理組織検査では穿孔部に出血、壊死を認めたが、血管炎や血栓は認めなかった。【考察】胆嚢穿孔は比較的稀な疾患であるが、その原因は胆石による胆嚢壁の圧迫壊死、炎症性変化、内圧亢進、外傷などが挙げられる。これらの原因などがなく胆嚢穿孔を起こし、胆汁が無菌で胆嚢炎がないかごく軽度のものを特発性胆嚢穿孔と定義される。本症例は本疾患と考えられ、検索した限りでは本邦で34例の文献報告のみである。術前に胆嚢穿孔と診断できたのは11例のみであり、本症例は短時間の経時的CT検査が診断の手助けになった。【結語】特発性胆嚢穿孔の手術治療例を経験した。発症から経時的なCT評価が胆嚢穿孔の診断に有用であった。
索引用語 特発性, 胆嚢穿孔