セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 咽頭痛のみで消化器症状を呈さなかったクローン病の1例 |
演者 | 江口 仁(特定医療法人祐愛会 織田病院 内科) |
共同演者 | 坂田 泰志(特定医療法人祐愛会 織田病院 内科), 中野 良(特定医療法人祐愛会 織田病院 内科), 井手 康史(特定医療法人祐愛会 織田病院 内科), 朝長 元輔(特定医療法人祐愛会 織田病院 内科), 松永 圭司(特定医療法人祐愛会 織田病院 内科), 西山 雅則(特定医療法人祐愛会 織田病院 内科) |
抄録 | 症例は60歳、女性。咽頭痛で近医耳鼻咽喉科を受診し、口唇、舌、咽頭に多発するアフタ様潰瘍を指摘される。prednisolone30mgの経口投与を開始され、2週間で漸減後中止となる。しかし、咽頭披裂部の潰瘍が軽快せず、咽頭痛が持続するために、発症17日目に当院へ精査目的で紹介された。経過中に発熱、腹痛や下痢はなかった。視力障害や外陰部潰瘍の訴えもなかった。血液生化学検査で白血球8000/μl、CRP1.8mg/dl、ESR47mm/hrと軽度炎症所見を認めた。アルブミンは4.0と正常であった。下部内視鏡検査で回腸に多発性の縦走潰瘍を認めた。結腸、直腸の大部分は正常粘膜であったが、小さなびらんが散在していた。小腸造影検査で回腸に縦走潰瘍と浮腫を認めた。上部内視鏡検査では胃、十二指腸にびらんを認めた。回腸潰瘍組織の結核菌PCRや病原細菌及び結核菌培養は陰性であった。生検組織には類上皮肉芽腫は認められなかったが、回腸の縦走潰瘍と結腸、直腸のびらんからクローン病と診断した。mesalazine投与で改善なく、発症36日目からinfliximabの投与を開始した。咽頭痛は軽快し、咽頭潰瘍は消失した。回腸の潰瘍も瘢痕化し、CRPも正常化した。クローン病の口腔病変は消化管病変の出現に先行してみられる事が多いとされているが、今回の症例のように消化管症状はなくても、既に消化管病変が存在している可能性があり、難治性や再発性の口腔内潰瘍の患者に対しては診断のために積極的に消化管の検査を行った方が良いと思われた。 |
索引用語 | クローン病, 咽頭痛 |