セッション情報 一般演題

タイトル

巨大GISTに対しメシル酸イマチニブ投与後に根治的切除が可能となった一例

演者 吉田 亮(五島中央病院 内科DELIMITER長崎大学消化器内科)
共同演者 大野 毅(五島中央病院 外科), 森崎 智仁(五島中央病院 内科DELIMITER長崎大学消化器内科), 大場 一生(五島中央病院 内科DELIMITER長崎大学消化器内科), 古井 純一郎(五島中央病院 外科), 山口 直之(長崎大学消化器内科), 大仁田 賢(長崎大学消化器内科), 磯本 一(長崎大学消化器内科), 水田 陽平(長崎大学消化器内科), 中尾 一彦(長崎大学消化器内科), 神田 哲郎(五島中央病院 内科), 河野 茂(長崎大学第二内科)
抄録 【はじめに】横隔膜、肝左葉、脾臓への浸潤が疑われる径20cm以上の巨大GISTに対しメシル酸イマチニブ投与により根治的切除が可能となった症例を経験したのでこれを報告する。【症例】56歳、男性 元来健康。2008年2月上旬より下血頻回、呼吸苦出現し近医受診。貧血と腹部腫瘍指摘され当院紹介受診。Hb7.7g/dlと貧血認め腹部造影CTにて直径20cm大の腫瘤が認められ入院となった。上部消化管検査にて胃体上部大弯に潰瘍を伴う大きなSMTが認められ出血部位と考えられた。SMTに対しEUS-FNAB施行。病理所見にて楕円形の核を持つspindleな細胞成分が認められc-kit,CD34強陽性、α-SMA,S-100陰性であり胃GISTの診断となった。3月8日からメシル酸イマチニブ400mg内服開始。投与3週間後から腫瘍は縮小傾向を認め投与8ヶ月後には直径13cmと縮小した。2009年1月14日他臓器への浸潤の可能性が低いと考え胃全摘(Roux-Y)術施行。剥離困難と考えられた横隔膜への浸潤もなく、手術所見上腹膜播種や肝転移の所見も認められず根治的切除となった。病理所見では腫瘍は全体的に壊死しており一部のみ周囲に残存腫瘍成分が散見されるがviabilityは低下していた。特に術後合併症無く軽快退院となる。【考察】他臓器への浸潤が疑われ腫瘍切除が不可能であった胃GISTに対してメシル酸イマチニブ投与により根治的切除が可能となることが示唆された貴重な症例を経験した。しかし本症例は高リスク(腫瘍径>10cm、核分裂像>10/50HPF、腫瘍壊死あり)GISTであり今後も定期的な観察とメシル酸イマチニブの継続投与が必要と考えられる。文献的考察を加えこれを報告する。
索引用語 GIST, メシル酸イマチニブ