セッション情報 一般演題

タイトル

盲腸脂肪腫により腸重積を来した一例

演者 吉田 亮(五島中央病院 内科DELIMITER長崎大学消化器内科)
共同演者 大場 一生(五島中央病院 内科DELIMITER長崎大学消化器内科), 力富 真惟子(長崎大学消化器内科), 森崎 智仁(五島中央病院 内科DELIMITER長崎大学消化器内科), 磯本 一(長崎大学消化器内科), 水田 陽平(長崎大学消化器内科), 濱崎 幸司(五島中央病院 外科), 田中 史朗(五島中央病院 外科), 大野 毅(五島中央病院 外科), 古井 純一郎(五島中央病院 外科), 中尾 一彦(長崎大学消化器内科), 神田 哲郎(五島中央病院 内科), 河野 茂(長崎大学第二内科)
抄録 【はじめに】腸重積は小児に多い疾患である。しかし時に腫瘍などを契機に成人でも発症することがある。今回我々は高齢女性で盲腸脂肪腫により腸重積を発症したまれな一例を経験したのでこれを報告する。【症例】77歳女性。既往歴として胆嚢摘出術、虫垂切除術歴あり。2008年10月に間欠的腹痛、嘔気認め外来受診。血液検査行うも著変なく鎮痛剤、制吐剤処方し外来経過観察とした。その後も症状改善無く2ヶ月間で4kgの体重減少を認め精査加療目的に入院となった。腹部は全体的に柔らかく腫瘤をふれず圧痛もない。腹部CTにて上行結腸肝弯曲部に径3cm大の周囲脂肪と同等の吸収域を示す球状の腫瘤陰影を認めその口側にtarget signを認めた。腹部MRI、腹部USでも同様の所見が得られた。ガストログラフィン注腸にて上行結腸肝弯曲部に径3cm大の表面平滑な円形の透瞭像を認め空気を注入するに従い腫瘤肛側の蟹爪像は消失し回盲部まで造影され腸重積の解除に成功した。下部消化管内視鏡検査にて盲腸に発赤緊満した腫瘤を認め径1.5cm程の太さの頚部の存在を確認したが内視鏡の操作性が非常に悪く、内視鏡的切除はリスクが高いと判断し外科的に切除を行う事とした。腹腔鏡下での腫瘤切除も考えられたが2回の開腹手術歴があり癒着が強いことが予測され、また患者が開腹手術を希望したため右下傍腹直筋切開による腫瘤切除を行った。手術3日後から流動食開始しその後特に合併症無く退院となった。病理にて腫瘤は当初の推測通り若干の線維性隔壁成分を含み、成熟した脂肪織の増生からなる粘膜下の脂肪腫の所見であり悪性所見は認められなかった。【考察】高齢女性の盲腸脂肪腫により腸重積を来したまれな1例を経験した。成人の間欠的腹痛には腸重積を念頭に置いての診療が必要である。また治療法に関しても悪性の有無や合併症の事を考慮してその適用には充分な検討が求められる。文献的考察も加えてこれを報告する。
索引用語 腸重積, 脂肪腫