セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 水腎症を来たしステロイド治療が有効であった後腹膜線維症の一例 |
演者 | 中村 太一(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学) |
共同演者 | 立花 雄一(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学), 松尾 享(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学), 藤森 尚(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学), 大野 隆真(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学), 河邉 顕(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学), 五十嵐 久人(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学), 伊藤 鉄英(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学), 高柳 涼一(九州大学大学院医学研究院病態制御内科学) |
抄録 | 後腹膜線維症は、後腹膜組織に原因不明の炎症細胞の浸潤や線維組織の増生を来たす疾患で、近年報告例が増加している。最近IgG4関連硬化性疾患という概念が提唱され、自己免疫性膵炎と本症との関連も指摘されている。今回我々はステロイド治療が有効であった後腹膜線維症の一例を経験したので報告する。 症例は80代男性。左側腹部痛、嘔吐を主訴とし近医を受診。腹部超音波検査で左水腎症を指摘された。精査加療目的に当科紹介入院となり、血液検査で血清Crが1.27mg/dlと軽度上昇を認めたが、膵酵素は正常であった。免疫系はリウマチ因子、抗核抗体が陽性で、血中IgG 2099mg/dl、IgG4 631mg/dlと高値を認めた。腹部CTで大動脈分岐部から両側の総腸骨、内腸骨動静脈周囲に軟部組織を認め、左水腎症も認められた。FDG-PETでは上述の軟部組織に一致して異常集積を認め、右耳下腺部や両側気管支領域のリンパ節にも集積を認めた。膵には集積を認めず、ERCP像は慢性膵炎の所見を呈するのみで、自己免疫性膵炎を疑う所見は認められなかった。IgG4関連硬化性疾患としての後腹膜線維症と診断し、プレドニン 30mg/dayにて治療開始したところ、軟部組織は著明に縮小し左水腎症も改善を認めた。貴重な症例であり、文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 | 後腹膜線維症, 自己免疫性膵炎 |