セッション情報 要望演題4 「進行・再発大腸癌に対する治療戦略」

タイトル

進行再発大腸癌に対する化学療法-セツキシマブの経験-

演者 大野 毅(五島中央病院 外科)
共同演者 古井 純一郎(五島中央病院 外科), 濱崎 幸司(五島中央病院 外科), 田中 史朗(五島中央病院 外科)
抄録 【目的】当院における進行再発大腸癌に対する治療は、2006年よりFOLFOX、FOLFIRIの導入により生存期間の延長がもたらされた。発展著しい分子標的薬についても、2007年からベバシズマブ、2008年からはセツキシマブと順次速やかに導入してきた。今回、FOLFOX、FOLFIRI耐性の進行再発大腸癌患者に対するセツキシマブの経験を、とくに安全性を中心に報告する。【対象】2008年12月からセツキシマブの投与患者5名。【結果】大腸癌発症時の平均年齢は58.8歳、男性4例女性1例、直腸癌2例、横行結腸癌1例、上行結腸癌2例。StageはIIが2例、IIIbが1例、IVが1例で病理学的リンパ節転移陽性が3例。同時性転移2例、異時性3例、異時性では初発癌手術から再発までの期間は平均24か月。転移巣はのべ、肺3、肝2、骨盤1、腹膜1、骨1であった。術後補助化学療法施行例は2例(経口Fu剤、5-Fu/イリノテカン)。再発発見後の第一治療はmFOLFOX6が4例、mFOLFOX6+ベバシズマブが1例。第二治療でFOLFIRI施行例は2例、セツキシマブ施行が3例。第三治療でセツキシマブ施行が2例であった。FOLFOX/FOLFIRIの回数は4から39クールで、結果的に評価はすべてPDであったが、最良の評価としてはCR1, PR1, NC2, PD1であった。セツキシマブは全例イリノテカンを併用して行い、現在までの評価としてはNC 3例であった(ほか未評価)。セツキシマブの副作用としては、皮疹、ざ瘡が4例中4例に出現し、GradeはII, IIIともに2例ずつであった。対応としてはミノサイクリンの投与、リンデロンローションの塗布を試行し、GradeI-IIに軽減させて投与継続可能である。なお皮疹の出現時期は8から14日であった。Infusion reactionをはじめとした重篤な副作用はまだ経験していない。【まとめ】セツキシマブによる大腸癌再発治療時の副作用は皮疹、ざ瘡はほぼ必発であるが、適切な治療で継続可能であった。ほかの副作用についても今後も厳重に観察していく必要があると思われた。
索引用語 セツキシマブ, 大腸癌