セッション情報 一般演題

タイトル

PEG IFN-α-2aが肝細胞癌増殖抑制に効果的であったと思われた2症例

演者 駒田 直人(社団法人 八日会 藤元早鈴病院 消化器内科)
共同演者 迫田 敏(社団法人 八日会 藤元早鈴病院 消化器内科), 藤元 登四郎(社団法人 八日会 藤元早鈴病院 消化器内科), 中村 憲一(宮崎大学 医学部 内科学消化器血液学講座), 蓮池 悟(宮崎大学 医学部 内科学消化器血液学講座), 永田 賢治(宮崎大学 医学部 内科学消化器血液学講座), 下田 和哉(宮崎大学 医学部 内科学消化器血液学講座)
抄録 我々は肝細胞癌発癌・増殖抑制目的でPEG IFN-α-2aを開始し、使用し続けた症例と中断した症例においてIFNが癌増殖抑制に効果的であったと思われた2症例を経験したので報告する。症例1:67歳、男性。前立腺癌手術後で当院と大学病院泌尿器科に定期通院中、フォローのCTで肝内腫瘍を指摘され当科紹介となった。血小板6万、HCVはセロタイプ1型、1,678.4fmol/Lと抗ウイルス量であったため発癌予防目的でCTの約3ヶ月前よりPEG IFN-α-2a 90μgを使用されていた。前立腺癌の転移との鑑別目的で腫瘍生検を施行、高分化型の肝細胞癌と診断した。直径1cm程度と小さくラジオ波焼灼術が可能な部位でもあったため、増大傾向あれば直ちに治療を行うこととして同意を得た上で経過観察とした。観察開始21ヶ月後も大きさにほとんど変化はない。症例2:65歳、男性。血小板12万、HCVはセロタイプ1型、850K IU/L以上と高ウイルス量であったためIFN-α-2b 6MU+リバビリン400mg投与開始された。開始後5ヶ月目で発癌したため4回にわたり肝動脈塞栓術を施行、PEG IFNの発売に伴いIFNをPEG IFN-α-2bに変更したが再発病変に対して肝動脈塞栓術1回、ラジオ波焼灼術1回を要した。ウイルスの消失が得られなかったため治療方針を癌増殖抑制目的としPEG IFN-α-2a 90μgに変更。約1年後再発したため効果が無かったものと判断しIFNを中止したがその1ヵ月後に癌が多発し、さらに4ヶ月後最終的には門脈本幹まで腫瘍栓がおよび永眠された。肝細胞癌は根治率が低い割りに再発率が高く治療に難渋する症例も多い。今後もさらにPEG IFNの抗腫瘍効果の検討を重ねて行きたい。
索引用語 肝細胞癌, PEG IFN-α-2a