セッション情報 一般演題

タイトル

術前診断が困難であった総胆管原発悪性リンパ腫の1例

演者 尾崎 徹(済生会熊本病院消化器病センター)
共同演者 浦田 淳資(済生会熊本病院消化器病センター), 江口 洋之(済生会熊本病院消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院消化器病センター), 須古 博信(済生会熊本病院消化器病センター), 水元 孝郎(済生会熊本病院消化器病センター), 金光 敬一郎(済生会熊本病院消化器病センター), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院消化器病センター)
抄録 症例は80歳女性。平成19年11月頃より37度台の微熱を認めるようになったため近医受診、腹部超音波検査にて胆嚢腫大を指摘され、当院紹介となった。血液生化学検査では軽度の炎症反応亢進とLDHの上昇を認め、腹部超音波検査および超音波内視鏡検査では胆嚢頚部と下部胆管の著明な壁肥厚が認められた。腹部CT検査やMRCPの所見と総合し、胆嚢頸部癌と下部胆管癌の合併を疑い、診断確定のために内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)を施行した。しかし、胆管造影は可能であったものの、深部への挿入が困難であり組織検査が出来なかった。また、胆汁細胞診は陰性であった。入院後も微熱は続き、抗生剤投与や胆嚢穿刺ドレナージを行うも改善しなかった。組織学的には診断できなかったが、以上の所見より胆嚢頸部癌と下部胆管癌の重複癌を強く疑い、平成20年2月5日膵頭部十二指腸切除および肝外胆管切除術施行した。病理組織学的には、下部胆管を主体に胆管壁に沿ってびまん性に大型リンパ球様細胞が増殖しており、非連続的に胆嚢頸部まで浸潤していた。さらに胆管切除断端も陽性であった。免疫染色でMalignant lymphoma, diffuse large B-cell typeと診断された。術前の画像検査にて他に病変を認めないことから、胆管原発悪性リンパ腫と診断した。術後、R-CHOP療法を施行したが、全身状態は徐々に悪化し、平成20年5月18日に永眠された。今回われわれは、術前診断が困難であった胆管原発悪性リンパ腫の1例を経験した。腹部超音波検査および超音波内視鏡検査を中心に画像を振り返り、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 総胆管原発悪性リンパ腫, 胆嚢悪性リンパ腫