セッション情報 |
要望演題7 「NAFLDの診断・治療の現況と今後の展望」
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タイトル |
無重力状態における筋萎縮予防“ハイブリッド訓練”の非アルコール性脂肪性肝障害に対する効果
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演者 |
川口 巧(久留米大学医学部消化器疾患情報講座) |
共同演者 |
志波 直人(久留米大学病院 リハビリテーション部), 前田 貴司(久留米大学病院 リハビリテーション部), 松垣 亨(久留米大学医学部整形外科), 伊藤 実(久留米大学医学部内科学講座 消化器内科部門), 坂田 雅浩(久留米大学医学部内科学講座 消化器内科部門), 安倍 満彦(久留米大学医学部内科学講座 消化器内科部門), たにぐち 英太郎(久留米大学医学部内科学講座 消化器内科部門), 佐田 通夫(久留米大学医学部消化器疾患情報講座DELIMITER久留米大学医学部内科学講座 消化器内科部門) |
抄録 |
【目的】脂肪肝とインスリン抵抗性改善効果を有する運動療法は非アルコール性脂肪性肝障害(NAFLD)の基本治療であるが、場所と時間を必要とするだけでなく、関節への負担の問題から、継続的な実践が困難である症例も少なくない。一方、ハイブリッド訓練は、宇宙ステーション滞在にともなう筋萎縮予防を目的に開発された電気刺激による新たな運動療法で、広い場所を必要とせず、短時間でかつ歩行障害を有する者でも訓練が可能といった特徴を有する。本研究の目的は、NAFLD患者を対象に、ハイブリッド訓練の脂肪肝およびインスリン抵抗性におよぼす影響を検討することである。【方法】当院を受診したNAFLD患者133名中、生活指導を3ヶ月間行ったにも関わらず肝障害の改善を認めなかった32名を対象とした。両大腿部の筋肉に対し、電気刺激(1回約20分・週1~2回)を3ヶ月間行ったハイブリッド訓練群(HYB:11名)と口頭にて3ヶ月間生活指導を行ったコントロール群(CON:21名)の2群において、血液生化学検査と腹部超音波検査による脂肪肝の程度(1: none、2: mild、3: moderate、4: severe)を前後比較試験にて検討した。【成績】HYB群とCON群の背景因子(血小板、ALT、アルブミン、ビリルビン、HOMA-IR、脂肪肝の程度)に有意差は認めなかった。CON群の前後比較解析では、ALT、脂肪肝の程度、HOMA-IRに有意な改善を認めなかった。一方、HYB群では、訓練前と比較し、訓練後のALTと脂肪肝の程度に優位な低下を認めただけでなく(67.4±6.7 vs. 53.2±5.8, p<0.05; 3.6±0.2 vs. 3.0±0.2, p<0.05)、訓練後のHOMA-IRも、有意に低下した(11.3±3.1 vs. 4.7±0.8, p<0.05)。また、全研究期間をとおしてハイブリッド訓練にともなう重篤な有害事象は認めなかった。【結論】ハイブリッド訓練は、脂肪肝とインスリン抵抗性の改善効果を有する事が明らかとなり、NAFLDの新たな運動療法となり得る可能性が示唆された。 |
索引用語 |
インスリン抵抗性, 運動療法 |