セッション情報 一般演題

タイトル

内視鏡生検後出血症例の検討

演者 坂田 玄太郎(大腸肛門病センター 高野病院)
共同演者 野崎 良一(大腸肛門病センター 高野病院), 高野 正太(大腸肛門病センター 高野病院), 佐伯 泰愼(大腸肛門病センター 高野病院), 福永 光子(大腸肛門病センター 高野病院), 久野 三朗(大腸肛門病センター 高野病院), 眞方 紳一郎(大腸肛門病センター 高野病院), 松岡 健三(大腸肛門病センター 高野病院), 田中 正文(大腸肛門病センター 高野病院), 大湾 朝尚(大腸肛門病センター 高野病院), 緒方 俊二(大腸肛門病センター 高野病院), 山田 一隆(大腸肛門病センター 高野病院), 高野 正博(大腸肛門病センター 高野病院)
抄録 【はじめに】内視鏡生検後に止血処置および輸血を要した重篤な出血症例の検討を行った。【症例1】55歳男性。潰瘍性大腸炎で治療中。特定疾患申請目的で、S状結腸内視鏡検査、生検施行。左側大腸炎型で、軽度の再燃状態(Matts grade2)。脳梗塞で血流改善薬内服。翌日下血のため入院。入院後、活動性出血はみられなかったが、Hb7.7g/dlに低下(生検前Hb15.2g/dl)のため、内視鏡施行。直腸生検部位に痂皮状の凝血塊付着。生検鉗子で痂皮を除去すると、動脈性出血あり。クリップ止血術とアルギン酸ナトリウム撒布で止血。絶食、鉄剤投与で経過観察。再出血なく輸血せず、潰瘍性大腸炎自体の増悪はみられず軽快。【症例2】66歳男性。スクリーニング目的で上部消化管内視鏡施行。十二指腸下行部に12mmの粘膜下腫瘍(SMT)を指摘、生検。生検時、特に処置なく止血。2日後下血あり、内視鏡施行。生検部位を洗浄すると湧出性出血あり、アルギン酸ナトリウム撒布にて止血、入院で経過観察。半日後、下血および血圧低下を認め、再度内視鏡施行。SMTを栄養していると思われる動脈の拍動を認め、クリップ止血術とアルギン酸ナトリウム撒布で止血。Hb8.2g/dlに低下し輸血。翌日には、吐血もあり、血圧低下が持続、Hb6.3g/dlに低下のため、造影CT施行。十二指腸クリップ部位周囲に造影効果があり、同部からの出血が疑われ、内視鏡止血術後も出血が持続していると判断。血管造影を行い、前上膵十二指腸動脈が責任血管と同定され、動脈塞栓術(TAE)を施行。TAE後、十二指腸潰瘍を認めたが改善し、SMTは縮小した。【考察】生検直後に止血が確認されても遅発性に重篤な出血をきたすことがあり、生検部位の炎症や粘膜下層の比較的大きな動脈の損傷等が原因と考えられた。【結語】生検後出血の危険性を認識し、検査前のインフォームド・コンセントと内視鏡的処置を含めた緊急的な対応が重要である。
索引用語 生検後出血, 止血術