セッション情報 | 要望演題5 「肝疾患に対する最新の治療 -基礎から臨床まで-」 |
---|---|
タイトル | 肝細胞癌術後肺転移に対してS-1が著効した一例 |
演者 | 山本 一博(高木病院 外科) |
共同演者 | 松山 悟(高木病院 外科), 森 直樹(高木病院 外科), 檜垣 賢作(高木病院 外科), 那須 賢司(高木病院 外科) |
抄録 | 【緒言】肺転移を伴う肝細胞癌に対しては,いまだ標準的な治療法が確立していない.S-1は肝細胞癌に対して保険適応がないが,複数の有効例が報告されており,効果が期待されている薬剤の1つである.今回われわれは肝細胞癌術後多発性肺転移に対してS-1が著効した一例を経験したため報告する. 【症例】73歳,女性.2007年7月に突然の腹痛,ショック状態にて受診した.造影CTにて肝細胞癌のruptureと診断され,TAEが施行された.肝炎ウイルスは陰性であった.2007年9月に肝部分切除術を施行された.2008年3月に多発肺転移出現し,UFT内服を開始したが増大傾向であった.2008年6月よりS-1内服を100mg/dayの2週間投与,1週間休薬のスケジュールで開始したところ,転移巣の著明な縮小を認めた.腫瘍マーカーも陰性化した.副作用のため50mg/dayの2週間投与,2週間休薬にまで徐々に減量したが,その後も2009年2月現在にいたるまで腫瘍の増大傾向を認めていない.副作用も外来加療が可能なレベルにまでコントロールされている. 【結語】肝細胞癌術後多発性肺転移に対して,S-1が著効した一例を経験した.S-1は投与量やスケジュールを調整することで,臓器障害を伴うような症例でも安全に使用できることが期待される.有効例も複数報告されており,肝細胞癌治療において今後有望な選択肢の1つと考えられたため報告する. |
索引用語 | 肝細胞癌, 化学療法 |