抄録 |
(はじめに)原発性低脂血症のうち、家族性低βリポ蛋白血症は常染色体優性遺伝を示す遺伝的疾患であり、脂肪肝を合併することがよく知られている。今回、我々は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を合併した低βリポ蛋白血症の1例を経験したので報告する。(症例)25歳、男性。(現病歴) 高校生のころからALT値が 100 IU/L以上あり、H13年6月(18歳時)に当科を受診し、脂肪肝と診断された(AST 44 IU/L, ALT 132 IU/L, T-Cho 76 mg/dl)。H19年の健診でAST 51 IU/L, ALT 167 IU/Lであり、近医を受診し、US上脂肪肝と脾腫を認めた。UDCA300mg/日の内服を行っていたが改善せず、当院での精査を勧められ、H20年3月に当科外来を受診した。採血を行い高度の低LDL血症を認めたため、家族性低βリポ蛋白血症に伴う肝障害と考え、肝生検目的でH20年5月12日に入院した。 (現症)身長 169.5cm、 体重 73.9kg、 BMI 25.7 kg/m2(検査成績)生化学検査 T-Bil 0.4 mg/l, AST 45 IU/l, ALT 151 IU/l, ALP 171 IU/l, γ-GTP 40 IU/l, T-Cho 107 mg/l, LDL-Cho 34 mg/l, アポリポ蛋白B 27 mg/dl (73-109)。肝生検で中等度のsteatosis, 軽度の肝細胞のballoninng、小葉内のinflammation、pericellular fibrosisを認めNASHと診断した。(まとめ)低βリポ蛋白血症に脂肪肝を合併した報告は散見されるが、NASH合併の報告は少ない。文献的な考察も含めて報告する。 |