セッション情報 一般演題

タイトル

大動脈腸管瘻の1例

演者 淀江 賢太郎(福岡県済生会福岡総合病院)
共同演者 原口 和代(福岡県済生会福岡総合病院), 吉村 大輔(福岡県済生会福岡総合病院), 落合 利彰(福岡県済生会福岡総合病院), 壁村 哲平(福岡県済生会福岡総合病院), 中村 和彦(九州大大学院・病態制御内科学)
抄録 症例は70歳代男性、主訴は吐血。平成17年に腹部大動脈瘤にて人工血管置換術(Y-graft)を施行された後、人工血管感染にてグラフト抜去および腋窩-両側大腿動脈バイパス術を施行された。平成19年には右総腸骨動脈小腸瘻にて右内外腸骨動脈結紮と小腸切除を施行され、自宅療養されていた。平成20年新鮮血の吐血とタール便あり、当科入院となる。なお同様の出血を以前にも認めており上部消化管内視鏡検査など受けるも原因不明であった。既往歴 69歳時 高血圧、糖尿病、74歳時 腹部大動脈瘤入院時現症では低血圧、ショック状態。眼瞼結膜に貧血を認めた。入院当日の上部消化管内視鏡検査では多量の暗赤色の出血残渣を認めるも明らかな出血源は認めなかった。翌日の再検にて十二指腸水平脚に瘻孔を疑わせる肉芽組織を認めた。また腹部CTでは、大動脈断端部が十二指腸水平脚と連続している所見を認めた。以上より大動脈および十二指腸との瘻孔形成と診断し、手術を施行した。術中所見では大動脈末端に仮性動脈瘤を認め、十二指腸と瘻孔形成しているものと考えられた。仮性動脈瘤の切除、瘻孔の閉鎖を行ったが、術中の出血のコントロール困難のため、同日死亡退院の運びとなった。大動脈腸管瘻の予後は不良であり、大量出血でショックに陥るため、初期の段階での早期発見が重要である。しかし内視鏡検査を含め、術前での大動脈腸管瘻の診断は困難なことが多い。今回、内視鏡検査にて診断し得た大動脈腸管瘻の1例を経験したので若干の文献的考察を含め報告する。
索引用語 大動脈腸管瘻, 消化管出血