セッション情報 研修医発表

タイトル

遺伝性球状赤血球症に合併した慢性C型肝炎に対するPeginterferon alfa-2b+Ribavirin併用療法の経験

演者 二村 理恵子(北九州市立医療センター)
共同演者 河野 聡(北九州市立医療センター), 重松 宏尚(北九州市立医療センター), 三木 幸一郎(北九州市立医療センター), 丸山 俊博(北九州市立医療センター), 野村 秀幸(新小倉病院肝臓病センター), 下田 慎治(九州大学病態修復内科(第一内科))
抄録 41歳女性。慢性C型肝炎1型高ウィルス症例。30年前に遺伝性球状赤血球症による溶血発作にて輸血をしたときに輸血後肝炎を発症。翌年脾臓摘出術を受けている。1993年にC型肝炎と診断された。過去にstandard interferon治療を2回行うもウィルス排除には至らなかった。2006年11月よりPeginterferon alfa-2b+Ribavirin併用療法を開始した。8週目でamplicore定性法にて陰性化が得られ、48週で治療を終了。結果はtransient responseであった。Hbは開始時13.6g/dlで、36週で9.7g/dlまで低下したが、経過中にPeginterferon alfa-2b、Ribavirinともに減量をしなかった。血清haptoglobinは開始時26mg/dl、治療期間中の最低値は23mg/dlであり、その他溶血を示唆するデータは得られなかった。遺伝性球状赤血球症では血球膜の異常による浸透圧抵抗の減弱により易溶血性を示す。溶血は脾臓で起きるため、脾臓摘出により溶血は回避されるが、易溶血性が改善されるわけではない。また、Ribavirinの副作用である貧血は溶血が原因であるとされ、多くの研究がなされているが結論はでていない。本症例で明らかな溶血発作を起こすことなく治療を完遂できたことは、Ribavirinによる貧血の機序を考えるうえで意義があり、同一の病態で治療をためらうケースの後押しになると考えられる。
索引用語 C型肝炎, 遺伝性球状赤血球症