セッション情報 一般演題

タイトル

ダブルバルーン小腸内視鏡検査にて観察しえた狭窄型虚血性小腸炎の1例

演者 山田 真梨子(九州大学大学院 病態制御内科学)
共同演者 徳永  紀子(九州大学大学院 病態制御内科学), 井星 陽一郎(九州大学大学院 病態制御内科学), 村尾  寛之(九州大学大学院 病態制御内科学), 麻生  暁(九州大学大学院 病態制御内科学), 荻野  治栄(九州大学大学院 病態制御内科学), 金山  兼司(九州大学大学院 病態制御内科学), 隅田  頼信(九州大学大学院 病態制御内科学), 板場  壮一 (九州大学大学院 病態制御内科学), 秋穂  裕唯(九州大学大学院 病態制御内科学), 中村  和彦(九州大学大学院 病態制御内科学), 高柳  涼一(九州大学大学院 病態制御内科学), 西岡  泰信(九州大学大学院 第一外科), 植木  隆(九州大学大学院 第一外科), 後藤  綾子(九州大学大学院 形態機能病理)
抄録 症例は78歳,女性.60歳代に狭心症,高血圧症,糖尿病の既往あり.2008年9月11日突然の腹痛の後,悪心・嘔吐が出現.前医にて経口小腸X線検査を施行したところ,回腸に腸管狭窄を認めた.9月30日小腸狭窄の原因検索・加療目的にて当科入院となった.NSAIDの服用歴はない.腹部CT検査にて骨盤内左側の小腸に壁肥厚と口側腸管の拡張が認められた.有意なリンパ節腫大を認めず.大腸内視鏡検査・経肛門的ダブルバルーン小腸内視鏡検査(DBE)にて異常所見を認めなかった.経口的DBEにて上部回腸に開放性潰瘍を伴った高度の全周性狭窄を認め、スコープの通過は不可能であった.潰瘍辺縁は平滑で腫瘍性変化は認めなかった.潰瘍辺縁からの生検では悪性所見はなく,非特異的炎症所見で肉芽腫はみられなかった.DBE時に施行したガストログラフィンによる病変部の造影検査では、約4センチにわたる径2ミリ程度の管状狭小化を認め、口側腸管の拡張を認めた。以上の所見から狭窄型虚血性小腸炎と診断した.保存的療法にて改善しないため,狭窄部に対し腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行し,切除標本の病理組織所見にて狭窄型の虚血性小腸炎と診断された.腸管の虚血性病変としては虚血性大腸炎がよく知られているが小腸では比較的稀で,内視鏡所見報告例は少ない.今回我々はDBEにて観察しえた狭窄型虚血性小腸炎の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
索引用語 虚血性小腸炎, 小腸狭窄