セッション情報 一般演題

タイトル

吐血を契機に発見された胆嚢十二指腸瘻の一例

演者 迫口 太朗(中津市立中津市民病院 外科)
共同演者 松永 宗倫(中津市立中津市民病院 外科), 吉田 大輔(中津市立中津市民病院 外科), 久米 正純(中津市立中津市民病院 外科), 白水 章夫(中津市立中津市民病院 外科), 岸原 文明(中津市立中津市民病院 外科), 福山 康朗(中津市立中津市民病院 外科), 増田 英隆(中津市立中津市民病院 外科)
抄録 【はじめに】今回、我々は吐血を契機に発見された胆嚢十二指腸瘻の一例を経験したので報告する。【症例】80歳代の男性。多発性脳梗塞にて前医に通院し抗凝固剤を内服中であった。吐血を主訴に前医受診、上部消化管出血の診断で当院緊急入院となった。緊急上部消化管内視鏡検査にて、十二指腸球部下壁に約2cm大の黒色調の隆起性病変を認めた。同部位からの出血と診断し、アルゴン焼灼にて止血術を行った。第4病日に再び内視鏡検査を施行したところ、十二指腸球部下壁には深い潰瘍を認め、出血も持続していた。潰瘍穿通が疑われ、ただちに腹部CT検査を施行。胆嚢壁は著明に肥厚し、内部にはガス像および結石を認めた。また回腸に石灰化を伴う内容物を認め、回腸の閉塞がみられた。胆嚢十二指腸瘻とそれに引き続く胆石性イレウスの術前診断で、同日緊急開腹術を行った。【手術所見】胆嚢周囲には大網、十二指腸球部が強固に癒着していた。胆嚢を摘出したところ、十二指腸球部に1cm弱の瘻孔を認めた。また回腸末端より口側80cmの部位に異物の嵌頓を認めた。十二指腸球部の瘻孔は縫合閉鎖し大網を被覆、回腸内異物は回腸を切開し摘出した。異物は胆嚢内結石と同等であり、径は22mm大であった。【術後経過】創感染及び腹腔内膿瘍の形成を認めたが、ドレナージを含む諸処置にて改善した。【まとめ】胆嚢十二指腸瘻は腹痛、嘔吐、発熱といった胆嚢炎症状で気付かれることが多く、出血症状で気付かれることは稀である。本症例については出血が持続していることから、術式は胆嚢摘出+瘻孔閉鎖+腸管切石術を選択した。
索引用語 胆嚢十二指腸瘻, 胆石性イレウス