セッション情報 一般演題

タイトル

先天性総胆管拡張症術後の膵内遺残胆管に発生した胆管癌の1例

演者 楠元 英次(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科・臨床研究部)
共同演者 高見 裕子(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科・臨床研究部), 和田 幸之(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科・臨床研究部), 立石 昌樹(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科・臨床研究部), 才津 秀樹(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科・臨床研究部), 境 昌宏(同 放射線科), 安森 弘太郎(同 放射線科), 桃崎 征也(同 病理部)
抄録  近年、先天性総胆管拡張症(以下CBD)術後の膵内遺残胆管に発生した胆管癌の報告が散見されるようになっている。今回我々は、繰り返す胆管炎から肝内結石併存肝膿瘍+DICをきたして紹介されたCBD術後5年目に膵内遺残胆管癌を認めたため、拡大後区域切除+膵頭十二指腸切除を同時に施行した1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。【症例】46才、男性【既往歴】03年6月某病院にてCBDに対して肝外胆管切除+肝管空腸吻合術。【現病歴】CBD術後時々胆管炎を認めるものの、抗生剤投与と絶食にて改善していた。ところが、08年11月再び胆管炎を生じ保存的治療を行うも改善せず、またCTにて肝膿瘍を併発しており4日目に当院を紹介された。入院後直ちに緊急膿瘍ドレナージを施行。また、DIC score6点であったため抗生剤+DIC治療を強力に行った。しかし、DICは改善してきたが、高熱と炎症反応高値が持続し改善しないため、肝動注リザーバーを留置して抗生剤肝動注施行。その後徐々に炎症反応は改善。【各種画像診断】MRCPでは、S7,8に4cm大、S5,6に3cm大の境界明瞭な内部に不均一低信号を有する高信号構造がみられ、これらの間には胆管を介して交通がある。また、後区域には広範囲に淡く高信号を呈する結節様病変が多発。膵頭部に40×27×32mmの嚢胞状構造を認め、内部に壁在結節様の充実性構造を認める。Angio CTでは膵頭部の嚢胞状構造の中の不整な充実性構造は腹腔動脈から造影効果を認める。以上より多発肝膿瘍+膵内遺残胆管癌と診断し、09年1月拡大後区域切除+膵頭十二指腸切除を施行。【病理組織診断】遺残胆管病変はwell differentiated tubular adenocarcinoma(34×14mm、進達度ss)、肝病変は胆管炎や細胆管増生を伴ったabscess。
索引用語 膵内遺残胆管癌, 先天性総胆管拡張症