セッション情報 研修医発表

タイトル

肝細胞癌と悪性リンパ腫が重複し存在したHCV陽性肝硬変の1例

演者 木下 知美(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科・臨床研究部)
共同演者 高見 裕子(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科・臨床研究部), 和田 幸之(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科・臨床研究部), 立石 昌樹(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科・臨床研究部), 才津 秀樹(国立病院機構 九州医療センター 肝胆膵外科・臨床研究部), 境 昌宏(同 放射線科), 安森 弘太郎(同 放射線科), 桃崎 征也(同 病理部)
抄録  肝炎ウイルスと肝原発悪性リンパ腫(以下PHL)との間には強い相関関係があることが以前より知られており、1983年から2009年の医中誌では151例の報告がある。しかし、PHLと肝細胞癌(以下HCC)の合併は15例と比較的まれで、これにさらにHCV陽性を組み合わせるとわずか2例と非常にまれである。今回我々はHCCとPHLが重複して存在したHCV陽性肝硬変の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。 【症例】74才、女性【主訴】肝腫瘤【既往歴】1967年急性肝炎、1984年子宮筋腫摘出、1998年C型肝炎指摘。【現病歴】1998年C型肝炎指摘され、以後定期的に経過観察。08年12月S5に12×8mmのHCCを指摘され、09年1月MCN目的で当科紹介入院。【入院時検査成績】alb. 3.8、T.B 0.8、LDH 239、AST 129、ALT 121、PLT 11.2、WBC 3900、好中球50.3%、リンパ球39.3%、単球4.7%、好酸球2.4%、好塩基球0.9%、PT 69%、AT-III 87%、ICGR15 25%、ヒアルロン酸331、AFP 36.2、L3分画3.0%、PIVKA-II 15、HBs-Ag(-)、HBs-Ab(-)、HBe-Ag(-)、HBe-Ab(-)、HBc-Ab(+)、HCV(+)。なお、術後測定したSil-2R は621であった。【各種画像診断】MRIでは、S8の13mmの腫瘤はT2高信号、造影にてhigh-low、肝細胞造影相にて低信号。S5の8mmの腫瘤は造影にて淡いiso-low、肝細胞造影相にて低信号。CTでは、S8に11mmの淡いhigh-low結節を認めるが、S5の結節は同定出来ない。以上よりS8は中分化型HCC、S5の方は高分化型HCCと診断しMCN施行。【病理組織診断】S8はCD20が陽性でAtypical B cell proliferation(Invasive by B cell lymphoma suggestive)、S5はWell differentiated hepatocellular carcinoma、非癌部はA2F4。【まとめ】HCCとPHLが重複して存在したC型肝硬変の1例を報告した。
索引用語 肝細胞癌, 肝原発悪性リンパ腫