セッション情報 要望演題6 「画像診断の進歩と肝癌治療の新たな展開」

タイトル

EOB-プリモビストMRIによって診断が可能であった肝細胞癌の3切除例

演者 播本 憲史(飯塚病院 外科)
共同演者 調 憲(飯塚病院 消化器外科), 梶山 潔(飯塚病院 外科), 長家 尚(飯塚病院 外科)
抄録 【はじめに】MRI造影剤としてEOB-プリモビストが導入されて、その有用性が報告されつつある。肝細胞癌切除69例、計87結節についてEOB-プリモビストMRI(Signa Horizon, GE社1.5T)を施行した。この内、EOB-プリモビストMRIの肝細胞相での低信号で診断が可能となり、切除を行った3例を経験したので報告する。【症例】1.59歳男性。B型慢性肝炎フォロー中に腹部エコーでSOLを指摘された。CTA/CTAPでは所見無く、EOB-プリモビストMRIにて肝細胞相での低信号を認めた。病理では高分化肝細胞癌、腫瘍径5mmであった。2.79歳女性非アルコール性肝硬変、肝細胞癌の精査中、主病変以外にEOB-プリモビストMRIにて低信号を認めた。この病変はCTAにて血流低下、CTAPにて所見を認めなかった。病理では高分化肝細胞癌、腫瘍径12mmであった。3.69歳男性PBC合併肝細胞癌の診断で主病変以外にEOB-プリモビストMRIにて低信号を2個認めた。1個はCTAにて血流低下、CTAPにて所見を認めなかった。もう1個はCTA/CTAPの所見はなかった。病理ではいずれも高分化肝細胞癌で、腫瘍径は13mm、6mmであった。【結論】腹部CT、CTA/CTAPにて診断の確定しなかった肝腫瘍に対して、EOB-プリモビストMRIを施行することによって肝細胞癌の診断を得ることが可能となり、切除を施行した3例、3結節を経験した。3結節は12mm以下の高分化肝細胞癌であり、EOB-プリモビストMRIは血流変化に乏しい高分化型肝細胞癌の描出に有効で、新たな診断モダリティーとしての可能性を示唆するものであった。今後、EOB-プリモビストMRIの導入によって、早期肝細胞癌の検出率の向上が期待される。
索引用語 EOBプリモビスト, 肝細胞癌