セッション情報 一般演題

タイトル

診断に苦慮した大腸結核の一例

演者 坂本 絢(国家公務員共済組合連合会 熊本中央病院 消化器科)
共同演者 松下 郁雄(国家公務員共済組合連合会 熊本中央病院 消化器科), 桜井 健一(国家公務員共済組合連合会 熊本中央病院 消化器科), 北岡 光彦(国家公務員共済組合連合会 熊本中央病院 病理部), 坂本 理(独立行政法人国立病院機構 熊本南病院 呼吸器科)
抄録 症例は84歳男性。食欲不振、右下腹部痛があり近医を受診したところ、右下腹部に腫瘤を触知し当院紹介入院となった。炎症所見(CRP7.6mg/dl)と低蛋白・低アルブミン血症(TP 5.5g/dl,Alb 2.3g/dl)を呈し、可溶性IL-2レセプターは4650U/mlと上昇していた。腹部CTでは回腸末端から上行結腸にかけ全周性に壁肥厚、腸間膜リンパ節の腫大、少量の腹水を認められた。下部消化管内視鏡検査では上行結腸より連続性に約3/4周性に粘膜の浮腫、びらん、不整形潰瘍を認め、狭窄が高度でファイバーの通過不能で、口側の観察は出来なかった。注腸透視では大腸は全体的にハウストラが消失しており、回腸末端から盲腸、上行結腸にかけて狭窄を認められた。以上の所見より悪性リンパ腫を強く疑った。しかし生検ではリンパ球の異型はなく、免疫染色でも悪性リンパ腫は否定的で、好中球主体の炎症細胞浸潤が強く認められた。入院時より38℃台の発熱が続き、炎症所見が持続していたことより、腸結核の可能性も考え便汁の抗酸菌検査を行うと、Gaffky5号の抗酸菌を認め、また大腸の生検組織の抗酸菌染色でも抗酸菌を多数認め、腸結核と診断が確定した。今回活動性の腸結核を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 腸結核, 腹部腫瘤