セッション情報 一般演題

タイトル

インターフェロン少量投与中に胸椎化膿性脊椎炎をきたしたC型慢性肝炎の一例

演者 梅野 成大(福岡市民病院 内科)
共同演者 堀川 ゆき(福岡市民病院 内科), 内村 浩太郎(福岡市民病院 内科), 田邉 雄一(福岡市民病院 内科)
抄録 【症例】 51歳 女性 【主訴】 発熱、背部痛 【病歴】 C型慢性肝炎(Genotype:1b、380KIU/ml、肝生検:F3,A3)に対し、平成19年9月よりPEG-IFNα-2b+Ribavirin併用療法(48週間)を行った。HCV-RNAは12週投与後に陰性化(real-time PCR)したが、治療終了1ヶ月後に再陽性化したため、平成20年9月より、IFN(HLBI)300万単位×週3回投与を開始した。平成21年2月1日に悪寒、発熱を認め、近医を受診した。腎盂腎炎と診断され、抗生剤投与にて一時症状は軽快した。しかし、2月5日に再度発熱と共に背部痛を認めたため、入院加療となった。【入院後経過】BT:38.7℃、WBC:5600/μl、好中球比率:76%、CRP:5.2mg/dlと炎症反応の上昇を認めた。検尿は潜血(1+)、沈渣WBC 3-5/1Fで、起因菌は同定されなかった。腹部造影CTにて左右腎盂の増強効果に乏しく、腎盂腎炎に矛盾しない所見であり、TAZ/PIPCの点滴投与を開始した。徐々に炎症反応の改善を認めるも腰背部痛が増強したため、脊椎病変の可能性を考え、胸椎~腰椎MRIを施行した。結果、Th8~11のレベルで硬膜外膿瘍の所見を認め、化膿性脊椎炎と診断された。その後、CTMに抗生剤を変更し、投与3週間目でCRPは陰性化し、腰背部痛も徐々に軽減した。更にCFDM内服に変更し、加療継続のうえで退院となった。【考察】 最近の化膿性脊椎炎の基礎疾患として、約10%程度の頻度で肝硬変が存在する。本症例は、肝線維化の進展がみられ、さらにIFN治療によるLeucocytopeniaによる易感染性があった可能性がある。化膿性脊椎炎は、長期の抗生物質投与の必要があり、不十分な治療では容易に再燃をきたす危険性がある。IFN治療中の合併症として十分な注意が必要であり、臨床上貴重な症例と考え文献的考察を加えて報告する。
索引用語 C型慢性肝炎, 化膿性脊椎炎