セッション情報 一般演題

タイトル

呼吸困難を主訴に発見され、化学放射線療法でCRを維持している気管浸潤食道癌の1例

演者 西田 康二郎(飯塚病院 外科)
共同演者 安部 智之(飯塚病院 外科), 三好 修(飯塚病院 外科), 近藤 潤也(飯塚病院 外科), 櫻井 眞人(飯塚病院 外科), 宮崎 充啓(飯塚病院 外科), 調 憲(飯塚病院 消化器外科), 長家 尚(飯塚病院 外科)
抄録 【はじめに】近年、食道癌に対する化学放射線療法の良好な治療成績が報告されている。我々は気管浸潤により呼吸困難をきたした頚部食道癌に対してDocetaxelを併用した化学放射線療法を行い、CRを維持している症例を経験したので報告する。
【病歴】63歳 男性。H20年1月初旬より食事が通らなくなった。1月25日呼吸困難を主訴に当院受診。気管支鏡検査, CT検査にて頚部食道癌 T4(気管)N1M0, StageIVaと診断され、当科紹介となった。
【治療経過】呼吸困難に対してステロイドを投与しながら化学放射線療法を導入した。 DCF療法(Docetaxel: 60mg/m2, day1 / CDDP: 6mg/m2, day1-5 / 5FU: 350mg/m2, day1-5, 3週毎)2コース+放射線療法:計40Gy(1回2Gy)終了時点で評価を行ったところ、原発巣は著明な縮小を認めたが、深掘れ潰瘍が残存していた。食道穿孔の危険性を考えて放射線療法は中止し、化学療法(DCF)を3コース追加した。治療後、腫瘍部は線維化を残すのみとなり、生検にて腫瘍細胞を認めず。PETにてFDG異常集積を認めず、CRと判断した。8月に施行した経過観察にて上縦隔の食道壁外に再燃を認め、再度化学放射線療法施行(DCF 2コース, 40Gy照射)。追加治療としてDCF療法を2コース行い、現在CRを維持している。
【考察】当科では現在、食道癌に対する化学放射線療法としてDocetaxelを用いたDCF併用化学放射線療法を行っている。本療法はcStageIV症例に対しても高い治療効果を示しており、14例中8例(57.1%)に画像上CRが得られている。有害事象として高率にgrade3以上の好中球減少を認めるが、慎重な管理下で治療を行うことによって、切除不能食道癌に対しても有効な治療法であると考えられた。
索引用語 食道癌, 化学放射線療法