セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | 保存的に治療可能であった十二指腸憩室穿孔の2例 |
演者 | 永田 豊(公立学校共済組合 九州中央病院 消化器内科) |
共同演者 | 工藤 哲司(公立学校共済組合 九州中央病院 消化器内科), 谷口 雅彦(公立学校共済組合 九州中央病院 消化器内科), 檜沢 一興(公立学校共済組合 九州中央病院 消化器内科), 松本 主之(九州大学大学院 病態機能内科学), 飯田 三雄(九州大学大学院 病態機能内科学) |
抄録 | 症例1は77歳女性.右季肋部痛に引き続き悪寒戦慄が出現し,当院を受診した.CRPは6.5mg/dlと高値で,腹部CT検査にて十二指腸周囲に広範な脂肪織の混濁と後腹膜腔にfree airを認め,上部消化管穿孔が疑われ入院となった.右季肋部痛は軽度であり腹膜刺激徴候は認められなかったため,絶飲食,プロトンポンプインヒビター(以下PPI),抗生剤投与で治療を開始した.腹部症状改善後の上部消化管内視鏡検査では十二指腸第二部に管腔狭小像を認めるのみであったが、X線造影検査では十二指腸下行脚に複数の憩室が認められた.さらに下行脚内側の憩室内腔の辺縁が不整に描出されることより同部が穿孔部だったと診断した.入院後経過は良好で保存的治療にて退院となった. 症例2は65歳男性.全身倦怠感と右側腹部痛を主訴に当院を受診した.CRPは27mg/dlと高値で,腹部CT検査にて十二指腸球部から下行脚の壁肥厚と膿瘍形成を伴う周囲脂肪織の混濁を認め,十二指腸潰瘍穿孔が疑われ入院となった.膿瘍は穿刺困難な部位にあり,腹部症状も軽度であったことから絶飲食,PPI,抗生剤投与で治療を開始した.経過中の上部消化管内視鏡検査にて十二指腸球後部から第二部の浮腫性肥厚と膿性粘液を多量に含む粘膜下腫瘍状隆起を認めた.ガストログラフィンによる上部消化管X線検査にて内腔辺縁が不整な十二指腸憩室を認め,同部での憩室穿孔と診断した.その後保存的治療で軽快し退院となった. 十二指腸憩室は上部消化管造影検査の1~5%に認められるが穿孔をきたすこと極めてまれであり、X線内視鏡像の記載は少ない.穿孔例では手術が選択されることが多いが,腹部症状が軽度であれば保存的治療で治癒した症例報告が近年散見されている.今回我々は保存的治療で軽快した十二指腸憩室穿孔の2例を経験したので,X線内視鏡所見と若干の文献的考察を加え報告する. |
索引用語 | 十二指腸憩室, 穿孔 |