セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 診断にFDG-PETが有用であった自己免疫性膵炎の一例 |
演者 | 東 喬太(福岡和白病院 消化器科) |
共同演者 | 田原 正宏(福岡和白病院 消化器科), 本間 穣(福岡和白PET画像診断クリニック), 丸屋 安広(福岡和白病院 消化器科), 有村 英一郎(福岡和白病院 消化器科), 蒲池 良平(福岡和白病院 消化器科), 大田 恭弘(福岡和白病院 消化器科), 山本 明(福岡和白病院 消化器科), 広重 嘉一郎(福岡和白病院 消化器科), 中山 鎮秀(福岡和白病院 消化器科) |
抄録 | 自己免疫性膵炎はIgG4が関連した全身性疾患の膵病変である可能性が示唆されており、2002年に日本膵臓学会が世界で始めて概念・診断基準を発表して以来、本邦でも報告例が散見されるようになった。症例は62歳女性。9ヶ月前より食思不振および体重減少(9kg)を認めていた。近医より処方された感冒薬による薬疹のため、当院ERを受診したところ、黄疸を指摘され、精査目的にて入院となった。腹部USにて膵頭部にpenetrating duct signを伴う径40mm大の低エコーの腫瘤を認めたため、腫瘤形成性膵炎をまず疑った。膵頭部癌・下部胆管癌を否定するため、MRCP・ERCPを行うと、膵頭部膵管と下部胆管の狭窄および尾側膵管・上部胆管の拡張を認めたため、胆管stentを留置した。造影剤アレルギーのriskが高かったため、FDG-PETを施行した。膵頭部への集積は軽度であり、唾液腺、後腹膜への集積を認めたため、腫瘤形成性の自己免疫性膵炎を示唆する所見であった。高γグロブリン血症、IgG 5221( IgG4 4060)mg/dlを認め、膵内胆管の擦過細胞診はgroup1であり、腫瘍マーカーの上昇も認めなかったため、膵癌は否定的であり、自己免疫性膵炎と診断した。PSL 30mgより投与を開始し、2週間後のFDG-PET所見では、膵頭部・唾液腺・後腹膜の集積は改善を認めた。尾崎らの報告によると、FDGの涙腺や唾液腺・後腹膜などへの取り込みは自己免疫性膵炎(15例)でのみ認められ、膵癌(26例)では認められなかった。今回、我々はFDG-PETが膵癌との鑑別に有用であった自己免疫性膵炎の一例を経験したため、若干の文献的考察を加え、報告する。 |
索引用語 | 自己免疫性膵炎, FDG-PET |